足立朝日

メゾソプラノ歌手 たぐちたみ さん (43歳)

掲載:2012年4月5日号
本木東町在住
悩みながら見出した、心に響く歌声

 深みとあたたかみのある歌声が、やさしく包み込むように旋律を奏でる。お日さまをいっぱい浴びた柔らかい木綿のような、そんな心地よい響きが心に沁み渡る。
 長野県出身。大学進学を機に上京、その後に足立区に。自宅でピアノを教える傍ら、風の子カルチャーの講師、フルート奏者・大橋弘美さんとのグループ「葦音(あしのね)」など、精力的に活動をしている。
 歌の原点は子ども時代。夜仕事から帰って来た母と、手をつないで家の周りを散歩しながら一緒に童謡を歌った。「それが、むちゃくちゃ好きだったんですよ。本当に宝物」
 東京芸大の声楽科で学ぶが、声が思うように出せず、苦しい歌い方に自信をなくして、歌をやめようとまで思ったという。
 そんな時、毎年参加していた白馬のコンサートで主催者が「アメイジング・グレイス」を依頼。歌詞の素晴らしさと曲の美しさに揺さぶられたことが、歌につなぎとめた。悩みながら細々と続け、やがて自分に合う歌い方を見出すことに成功した。
 最近、星野奏汰さん(作曲家・シンセサイザー奏者)と活動する中で、作詞にも挑戦。曲は星野さんが震災後に「日本全体を慰めたい」と作ったものだ。まるで共鳴するようにあっという間に出来上がった詩に、「お客さんが涙してくださった」。
 長野で子どもの合唱団を指導している。「子どもが歌うことで周りが変わる。家族や歌いに行った先とか。涙を流す人、心からの笑顔。自分にできることの自信を持たせたい」。同時に、「童謡は子どもの出せる音程で、厳選された美しい言葉を使っていてすごい」。その素晴らしさも伝えていく。
 たぐちさんにとって歌とは?「幸せそのものです。人生だと思うんです。どんな時でも切っても切れなかった」。即答する最高の笑顔が、全てを語る。
《たぐちたみ2012コンサートVol.1》
日時=4月28日(土)午後2時半開演(15分前開場)、場所=カフェ・クレール(関原2‐16‐13、TEL3880・6645)、出演=たぐちたみ、星野奏汰、井戸由起子(ピアノ)、料金=大人2500円、小学生以下1500円(スイーツとお茶代込)、要予約。問合せTEL090・2997・7692たぐちたみ