足立朝日

羅針盤VOL.67

掲載:2017年4月5日号
「事実は小説よりは奇なり」なんて言葉を久々に聞いた。新鮮に聞こえたのは私だけだろうか? 「事実は……」は調べてみると、イギリスの詩人バイロンの「ドン・ジュアン」にある「Fact is stranger than fiction.」から出た言葉だそうだ。和訳も素晴らしいが、原語もいい響きがある。
さて、桜咲き、舞い、散る大舞台。果たして「役者」はどっちが上か? 舞台には、小商人を天まで持ち上げておいて、邪魔になると「シッ、シッ」と追い払う殿様がいて、もう片方にはおっちょこちょいで、危なっかしいのだが、最後まで「初心」を貫ぬこうともがいている小商人がいる。
さて、どっちが本物の「役者」か? 結局のところ、これまでの殿様と小商人の行状や言動を丁寧にたぐっていって判断するしかあるまい。それにしても、パッと咲きパッと散る桜花の潔さと違って、殿様が舞台上をウロチョロし過ぎる。
その上で、我々が生きて来た人生の経験を元にした「直観」で判断するしかないのだろうが、軍配はすでに上がっているように思う。(編集長)