足立朝日

区内唯一の自殺対策専任の保健師 足立区衛生部こころとからだの健康づくり課 こころといのち支援係長 松山 和代 さん(41歳)

掲載:2017年6月5日号
人に伝えることで繋がる「いのち」

近親者や友人などを自殺で失う悲しみ・苦しみは、「どうにか防ぐことはできなかったのか」という自責の念と共に、一生拭い去ることができない心の深い傷となってしまう。ましてや、自殺をせざるをえなかった人々の想いはいかばかりか――。
 足立区で自殺者数が急増した平成10年(193人)と比べると、平成27年(136人)には57人減少し、136人。その間、平成18年は、平成10年と比べると32人少ない161人であるが、23区内では足立区が一番多いという結果に。そのため区では、平成20年10月に自殺対策「こころといのちの相談支援事業」を開始した。
その最前線に立つのが「足立区衛生部こころとからだの健康づくり課」である。区内唯一の自殺対策専任の保健師である松山和代係長もまた、先頭に立って日々いのちと向き合う。同係長によると、専門団体が行った調査で「自殺者の72%が、生前に何らかの相談窓口を訪れている」という結果を受け、区では相談者の同意を得て情報を各関連部署で共有。他課での専門的な対応が必要な際、相談者が同じ説明をしなくても済むように、心的負担の軽減を図っている。
さらに、学校現場での取り組みとして、「自分を大切にしよう」をテーマに、児童生徒への「SOSの出し方教育」を実施。「あなたの苦しい気持ちを解ってくれる人は必ずいる! まずは誰かに打ち明けて!」と子どもたちに訴える。「ナマの反応を目の当たりにすることで、この取り組みの意義を感じる。課題は全校展開すること」と松山係長は模索する。
自身は高校時代に手話に巡り会い、ろう者と積極的に関わるようになった。平成13年から23年まで、足立区手話サークル連絡協議会代表。現在はデフサポート足立の活動に携わる。
同課の馬場優子課長は「松山係長はバイタリティ溢れる人。この仕事を通じて、さらに地域貢献を」とエールを送る。「辛い気持ちを人に話せることが『こころの健康』に繋がる」ことを実感し、いのちの灯が消えることがないよう二人三脚で奔走中だ。