足立朝日

新田保育園 苦難乗り越え創立70周年 柊サナカさんが園史を小説化

掲載:2018年12月5日号
 70周年を迎えた保育園の、波瀾万丈の誕生秘話と歴史が、物語として1冊の本になった。
 新田保育園70周年を記念した小説「どてのこたち」。執筆したのは同園に娘を通わせている小説家・柊サナカさんだ。
 柊さんは昨年度、父母の会の役員代表を務めていた時に、資料を読んで園の成り立ちを知り驚いたという。「保育園があって当たり前の世代だったので、これだけたくさんの人の苦労があったことを考えもしなかった」
 戦後、工場の多かった新田地域では3交代で働く人が多く、子どもたちの声が安眠の妨げになったり、大人の見守りなく荒川で遊んでいたため水難事故の心配があり、保育園を切望。住民や組合によって青空保育からスタートし、資金集めに奔走しながらも、払い下げのバスによる保育、園舎建設へと一歩ずつ築き上げてきた園だ。そこには、母親や住民、地域の企業「東京セロファン」工場長や地主など、多くの人々の熱意と厚意があった。
 70周年記念誌作成のため調査をしていた野村陽子園長は、園の基礎を作った故・曽根綾子園長と昨年、「朝ドラにできるくらいの話だ」と興奮。創設当時のことを知る人たちから伝え聞いた話を父母の会で披露した。それを聞いた柊さんは「目の前で風景が動くようにイメージが湧いてきた。この話を一人でも多くの人に知っていただきたい」と小説執筆を自ら提案、約1カ月かけて完成させたという。
 温かいまなざしで綴られた文章からは、単に園が作られたというだけでなく、甘食を使ったクリスマスケーキや、今でも大切にされているドイツ製ピアノを購入したエピソードなど、子どもたちへの愛情と質の高い保育に尽力した人々の思いが滲み伝わってくる。当時に形作られた、子どもたちが自ら考え成長するように導く保育は、今も引き継がれている。
 「どてのこたち~新田保育園の歩み~」(A5判・30頁・300円)は700冊制作、11月10日(土)・11日(日)の70周年記念式典等で発表され、12月1日の同園のバザーで販売。
 小説の権利は柊さんが父母の会に譲渡、売上は園と子どもたちのために活用する。
 今後も引き続き父母の会で販売していくが、通販はしていないので、購入希望は来園。
【問合せ】TEL3911・0977 社会福祉法人・新田保育園 父母の会(新田2‐1‐10)

写真上/野村園長(左)と柊さん
下/ノンフィクションの小説本