足立朝日

合資会社ひらさわ呉服店 社長 平澤 建二 さん(85) 関原3丁目在住

掲載:2019年3月5日号
ライオン看板と共に

 関原3丁目の交番前に、「ひらさわ呉服店」と描かれた堂々たる看板を、屋根に建造した店舗がある。店主は平澤建二さん。平澤さんの言葉を借りると「バラック建ての商店が競うように店の上部に『トタン看板』を掲げた下町商人の健気な心意気の看板だが、前だけ立派、後ろ建物が見劣りする丁度ライオンのタテガミの如くだと東京っ子らしい洒落のネーミング『ライオン看板』の呼称が定着した町のランドマークとして満70年」。
 平澤さんの人生を見つめ続けてきたかけがえのない証しであり、戦後の遺産である。都内最大唯一の同看板は、老舗店舗同様、その存在を誇っている。
 同店2階は着物の展示室で、その圧巻の美しさは来客を驚かせる。浴衣や七五三、成人式の振袖など、四季を感じさせる着物や小物類がディスプレイされ、それらを眺めていると心が静かに満たされていく想いだ。
 日本の伝統文化を担い、日本が誇る衣服の最高峰といえる着物であるが、アイディア豊富な平澤さんは、その時代に合わせた新たな作品を常に考え、編み出している。
 例えば、注文仕立ての「KEN Gブランド」。黒留袖がベースの「スカジャン」、紬がベースの「紬ジャン」、着物生地を使った「きものアロハ」、浴衣生地を使った「ゆかたアロハ」、その他、同じく着物生地による「吾子バッグ」「貴ものバッグ」「添バッグ」「藍シャツ」「カードケース・名刺入れ」「きもの帽子」「札入れ・小銭入れ」等の数々のオリジナルブランド。
 「KEN G」は、平澤さんの名前「建二」から取った「けん爺」が由来という茶目っ気たっぷりの平澤さんらしい命名。
店舗には、毒蝮三太夫さん、なぎら健壱さん、由紀さおり・安田祥子さん姉妹等、多くの芸能人が訪れ、平澤さんと縁を結んでいる。
 各商品は、「きものひらさわ」でネット検索(TEL3886・1827)。トップページには「特集/東京大空襲」のタイトルがあり、東京大空襲を体験した平澤さんが、亡くなった人々への鎮魂の想いを込めて、静謐な文章を載せている。
 平澤さんが語り継ぎたい溢れる「想い」は、3月中旬まで掲載される。