足立朝日

伊奈氏の歴史伝える絵図を 川口市に寄贈 建築イラストレーター・大淵澄夫さん

掲載:2019年9月5日号
 鉛筆による細密なイラストを描くことで知られる建築イラストレーター・大淵澄夫さん(72)=千住東2丁目在住=が、このほど埼玉県川口市赤山の歴史自然資料館に赤山の昔と今を描いた2枚の絵図を寄贈し、話題になっている。赤山は、江戸時代に関東郡代として活躍した伊奈氏が陣屋を構え、荒川や利根川の付け替え、千住大橋の建設、新田開発などを手掛けるなど足立区と縁が深いだけに、大淵さんは「足立区民はぜひとも足を運んでほしい」と語っている。
 関東各地の幕府直轄領を支配していた伊奈氏は、1629年(寛永6年)に川口市赤山に陣屋を設けた。その広さは77ヘクタールあり、東京ドームと後楽園遊園地が入る規模。陣屋の構造は、本丸・二の丸・出丸と家臣の敷地からなり、外堀と内堀で区画されていて正に平らな城だ。
 現在は、赤山城址として川口市によって発掘が行われ、史跡として保存。最近、市はここを新たな「水と緑のオアシス空間」として赤山自然歴史公園「イイナパーク川口」と命名。その一画に赤山・安行周辺、川口の歴史、文化、自然を紹介する施設「歴史自然資料館」を昨年4月にオープンさせた。
 大淵さんは、伊奈氏の家臣の家が配置されている「赤山陣屋絵図面」(市指定文化財)を参考に、2年前から足立区の家から赤山までを自転車や徒歩で往復して、綿密に調査し絵図を描いた。この2枚の絵図は、今年6月上旬に縦横2mのアルミ製プレートに貼られた。
 区が発行する地図には、竹の塚2丁目周辺から舎人2丁目あたりまでの道に「赤山街道」と書かれているが、江戸時代には、葛飾区・小菅と埼玉県川口市赤山を結ぶ重要な街道だった。伊奈氏は、小菅にも陣屋を構えていて、「足立区内と赤山の間を動き回っていた」(大淵さん)。大淵さんに「赤山絵図」を描かせたのは、「赤山が足立のゆかりの地、聖地である」ということ、そして「伊奈氏抜きに足立の歴史は語れない」という痛切な思いからなのだ。
【メモ】歴史自然資料館は、川口市赤山501-1。TEL048・283・3552。埼玉高速鉄道(起点は赤羽岩淵駅)新井宿駅から徒歩15分。足立区からは竹ノ塚駅から車で20分。広い駐車場あり。開館は午前9時半~午後4時半。月曜休館(月曜が祝日の場合は、その直後の平日)。入場料無料。

写真上/「この絵図から伊奈氏と家臣のドラマを感じてほしい」と話す大淵さん=赤山の歴史自然資料館で
下/びっしりと描き込まれた絵図