足立朝日

友好都市・鹿沼の杉を使った「見返り芭蕉像」 足立成和信金本店前に立つ

掲載:2019年11月5日号
 330年前に「おくのほそ道」の旅で千住を出発した俳聖・松尾芭蕉が、再び千住に戻って来た――。
 10月25日(金)、千住1丁目にある足立成和信金本店入口に、栃木県鹿沼市の森から切り出された杉の大木から同市在住のチェーンソーアーティストが彫った等身大の芭蕉木像が置かれた。杖と笠を持ち、ややもの悲し気な表情で後ろを振り返るその姿は「行く春や鳥啼き魚の目は涙」と江戸との別れの句を詠んだ芭蕉の姿と重なり、千住の新たな名物になりそうだ。
 この木像は、高さが台座を入れて1・8m、重さは120㎏。杉の木目がはっきりと出ていて、特に顔の部分は縦の木目が美しい。これを彫ったのは、鹿沼市村井町の小林哲二さん(49)。2011年(平成23年)10月、まちの駅「新・鹿沼宿」での祭り・チェーンソーカービングショーで、芭蕉とその弟子・曽良の木像を制作したのが第1号で、以降求めに応じてJR鹿沼駅など市内に4体、芭蕉終焉の地・岐阜県大垣市、草加市、荒川区などに、合わせて9体の木像を制作してきた。今回が10体目。
 小林さんは、千住が芭蕉の「おくのほそ道」出発の地ということで、事前に何回か千住を訪れ、芭蕉に詳しい「千住文化普及会」の櫟原文夫代表(70)から話を聞き、木像のイメージを膨らませた。直径80㎝もある鹿沼杉を約1週間かけて一心にチェーンソーを駆使して彫り抜いた。
 「芭蕉は住んでいた家を人に譲り、帰ることのない死を覚悟の旅たちでした。この芭蕉像には二度と帰ることができないという一抹の哀愁が江戸を振り向いた姿に表れています」と小林さん。設置に立ち会った土屋武司足立成和信金理事長(54)は「この記念すべき年に、足立区の友好都市・鹿沼の木工像を展示させていただき感無量です。地域の活性化と地域の歴史探求に貢献出来れば、これに越したことはありません」と語った。

写真上/すくっと立った芭蕉木像
下/前列左から作者の小林哲二さん、木工所の福田社長、西村材木店主、後列左が土屋足立成和信金理事長、右が樽見正衛栃木県集成材協業組合理事長