足立朝日

朝採れの足立野菜 「おいしい!」と好評 給食用小松菜 居酒屋で販売中

掲載:2020年6月5日号
 休校による給食の停止は、各所に大きな影響をもたらした。そんな中で苦境を逆手に取り、農家、店舗、消費者の3者が笑顔になれる新たなつながりが生まれている。
 区内小中学校の給食用の小松菜を生産している宇佐美農園(辰沼)は、日頃から社会科見学を受け入れ食育にも力を入れている。ところが、休校により毎日収穫していた250㎏が行き場を失い、一時は廃棄せざるを得ない状況に陥っていた。
 これを知った教員、PTA、近隣住民らが率先して購入し、次第に地域に支援の輪が拡大。テレビなど数々のメディアに取り上げられたことで、励ましの声や支援の申し出が全国から届くように。JR東京スマイルの農産物直売所「あだち菜の郷」でも販売が始まり、今は開店前から行列ができるほどの人気という。
 5月中旬には給食とほぼ変わらない量を出荷できるようになったが、その立役者が、もう1人。千住で飲食店9店舗を展開する㈱一歩一歩の社長、大谷順一さんだ。休業中(現在は再開)の居酒屋「てまえの一歩」「魚屋ツキアタリミギ」の2店舗で、宇佐美農園の小松菜、きゅうりなどを販売し大好評。また小松菜を使った自家製のパウンドケーキは、1日に20本売れる人気商品となっている。
 一歩一歩は4月から区役所13階に店舗を開業予定だったが、コロナにより準備が中断。仕入れ元である宇佐美農園の窮状に思い至り、居酒屋での販売を申し出たという。
 「コロナだからと後ろばかり向いていても仕方ない。せっかく足立区に住んでいるので、足立区で作られた野菜がこんなにあるんだよ、と広めたくて。東京でも朝採れ野菜が食べられると知ってもらう機会は今しかないと思った」と大谷さん。
◆農家と食卓をつなぐ
 宇佐美農園の小松菜は全て給食用のため、足立区内産でありながら一般の区民の口に入ることはほとんどない。また、大抵の葉物野菜は採れたてが一番おいしく、それが味わえるのは魅力だ。
 「水分の量が全然違う。シャキシャキ感も味も違う」とリピーターになる人が多く、近所に配りたいと5束も買った人がいるとか。「昔の商店街みたいな声が聞けるのが楽しい。やりがいもある」と大谷さんは喜ぶ。
 飲食店ならではのノウハウを生かして、保存法として生のまま刻んで冷凍するとおいしいことや、サラダとしての食べ方を教えるなどしているという。パティシエが考案したパウンドケーキも、「お菓子には合わないと思っていたけど、小松菜の味が馴染んでおいしい」と大谷さんのお墨付きだ。
 「こんなに住民の方に喜んでもらえて、地場野菜を紹介できて、何よりも店頭販売を辞めないで、という声がうれしい」
 今後も販売は継続し、さらに6月には肉、野菜、魚などのマルシェを開設する予定という。
 宇佐美農園代表の宇佐美一彦さん(58)は、「普段食べていただけなかった区民の方に食べていただけるのがうれしい。おいしいと言っていただけて、その声が励ましとともに届いている」と喜んでいる。
《小松菜販売》月水金土のみ
▼「あだち菜の郷」(中央本町1‐4‐2、TEL5888・7671)午前10時~午後1時
▼「てまえの一歩」(千住3‐33、TEL6806・1380)
▼「魚屋ツキアタリミギ」(千住3‐54、TEL6806・1043)午前11時~午後6時

写真上/居酒屋「てまえの一歩」で宇佐美農園の小松菜を販売
下/宇佐美農園の宇佐美さん