足立朝日

この本

掲載:2020年9月5日号
★「半沢直樹4 銀翼のイカロス」池井戸潤著/講談社刊/800円(税別)
 国民的ドラマ「半沢直樹」が、令和の時代に再登場! 今再び、視聴率トップドラマとして視聴者を虜にしている。
 その原作の1つが同書で、倒産まで秒読みの帝国航空の再建を巡り、東京中央銀行の半沢と仲間たちが、英知を振り絞って奮闘する感動作だ。
 半沢は、再建可能かつ厳しい案を同社に提出するが、国土交通大臣・白井が突如、自身直属の再生タスクフォースの立ち上げと、各銀行へ帝国航空に対する70%の債権放棄要求を発表。バックには、剛腕な再建屋・乃原、さらに、派閥の領袖・箕部が控える。
 その要求を飲もうと画策する同銀行常務の紀本には不穏な動きがあり、半沢たちが驚くべき事実を突き止めて、功名心にはやる白井や、半沢を窮地に陥れようとする金融庁の黒崎と対峙する。誠心誠意、再建に取り組む帝国航空の山久、半沢と志を同じくする部下の森山と開発投資銀行の女性バンカー谷川、半沢を理解する広報室の近藤と情報通の渡真利、半沢を支える検査部の富岡らの連携プレーが実に見事で、胸のすく思い。「やられたらやり返す。倍返しだ!」の決め言葉も健在だ。
 後半で、頭取の中野渡が吐露する深い想いと姿が胸に沁みる。
 ドラマでは俳優陣の顔芸が圧巻で、原作でもついそれらをイメージしてしまうが、ドラマと原作の違いをじっくりと味わうこともまた楽しい。