足立朝日

この本

掲載:2021年2月5日号
★「マスカレード・ナイト」東野圭吾著/集英社文庫(890円+税)
 ホテル・コルテシア東京を舞台にした「マスカレードシリーズ」は映画界からも注目され、第1弾の「マスカレード・ホテル」に続き、第3弾の同書も映画化決定。9月17日(金)に公開予定だ。
 同ホテルのカウントダウン・パーティ「マスカレード・ナイト」に、殺人犯が現れるという密告により、警視庁捜査一課の面々が潜入捜査を開始。敏腕刑事の新田浩介は、前回同様、フロントに立つ。当時、新田をホテルマンとして教育し、捜査に協力した山岸尚美はコンシェルジュに昇格し、今回も新田を支える。
 様々な事情を抱えてチェックインする人々は、それぞれの仮面を被っているが、ホテルマンはそれらに気づきながらも決して仮面を剥ぐことをしてはならない。さらに、宿泊客のいかなる要望にも「できない」とは言わず、代替え案を模索しながら対応する必要がある。
 同書には、不審者や無理難題を押し付ける宿泊客が何人も登場し、山岸がいかに対応するかという部分も読みどころとなっている。ホテル業界の厳しさや、刑事の過酷さを垣間見る思いだ。思いもよらない展開と結末により、それら宿泊客の仮面が剥がれた時、東野マジックに「またしてもやられた!」という感をぬぐえない。
 映画では、新田を木村拓哉、山岸を長澤まさみが演じるが、読者が思うキャストで同書を読み進める楽しみがある。