足立朝日

濱田屋・(株)ストリームマツモト社長 松本 博幸さん(37歳)

掲載:2010年1月5日号
柳原在住

屋形船で障害者に元気を

 千住側の荒川沿いで屋形船の濱田屋を営む(株)ストリームマツモト(柳原1)を、昨年12月14日、近藤やよい区長が訪れた。濱田屋では毎年1回、障害者やそれに関わるボランティアら約100人を屋形船に招き、食事とお台場までのクルージングを無料で提供している。

 今年で5年目となるこの活動に対し、障害者の元気回復に貢献したとして、感謝状が贈られたのだ。「人生で初めての賞状。励みになる」と松本社長は照れ臭そうに笑う。
 大正時代から続く屋形船の老舗で、浜松町を拠点に長年商売してきたが、博幸さんに代替わりしたのを機に、拠点を地元の柳原に移転。だが、8割が品川方面の客だった状況は一変、地元ではほとんど知られていなかった。
 地道な営業が実を結び、軌道に乗ったある時、言われた。「客を乗せて川を下るだけ。楽に商売できていいね」と。不愉快だったが、気付いた。「夜景はそこにあるもの。他力本願で社会貢献していない」。これが地域密着の活動を始めるきっかけとなった。
 マイクロバスで送迎できる利点を活かそうと思い立ち、区に掛け合ったが、「最初は何か下心があるんじゃないかと思われていた」と苦笑する。1年間通ってようやく平成17年、特養老人ホームの利用者を招待した。お客さんたちの反応は、「こんなに喜んでくれるのか!」と驚くほどだった。
 彼らを介護している人にも目を向け、たまには羽を伸ばして欲しいと、翌年はボランティア関係者を。視覚障害者を招待した時には、「窓を開けて、これが川風、ここからが海風、と風を感じてもらった」。
料理も普段の営業と同じで、手抜きは一切しない。食後は船内でカラオケ、お台場では船を止めて、デッキで海風を感じながら海上からの景色を楽しむ趣向は、普段自由に外に出られない人たちの励みになった。
 車いすの人たちを乗せたいと、乗船用のスロープも設置。高齢化が進む中、「私たちも商売のヒントをもらった」。
 社長と専務の2人で、桟橋周辺のゴミ拾いを毎日欠かさない。災害時の帰宅困難者代替輸送訓練にも参加するなど、活動の幅は広い。
「やってやってる、なんて全くない。やらせてもらってる、の気持ちなので、お付き合いが続く」。少しでも多くの喜ぶ顔を見るため、これからも続けていくという。