足立朝日

ピアニスト田中 拓未さん(34歳)

掲載:2010年2月5日号
花畑6丁目在住

身近な演奏を聴かせたい


 区役所近くの「わたなべ音楽堂」で、年に数回サロンコンサートを開く。プロ初年から始め、今年で3年目の挑戦だ。

 こぢんまりとした空間に、数十人の聴衆。ピアノとの距離が近い。「堅苦しくなくていい雰囲気。やりたいことだけをやっていい場所になりつつある」と言う。
 留学先のドイツの小さな町での生活が、活動の基盤にある。町では学校や教会など身近な場所で毎日コンサートが開かれる。ピアノの音も演奏も一流ではないが、町の人たちは自由に「聴きたい瞬間に聴く」。入場料代わりの募金だけで、20年続くものもあるという。
田中さんは自ら会場に掛け合い、クラシックの本場で演奏する日々を得た。今も年に2~3回ドイツにわたって、老人ホームなどで弾く。「住んでいる文化と暮している感覚」。語る声に愛しさが滲む。 「同じことを東京でやろうというんじゃないが、身近な場所で身近なレベルの演奏を聴かせられたら。10年続けていけたら何かが変わるのでは」。そんな想いがこもる。
演奏活動の傍ら、東京未来大学で保育士を目指す学生たちにピアノを教える。「音楽の言葉ってあると思うので、プロじゃない人がそれを使って表現できるのは幸せだと思う」。プロは作品を、素人は自分の感情を表現する。「日常生活と違う言葉で表現しているので、それが聞こえた時、素敵だなと」。音楽の持つ豊かさを実感する。
 田中さん自身は子どもの頃は、熱心な生徒ではなかった。小学4年の頃、車が好きで「ピアニストになったら高級車が買える」と親に教えられ、続けていたとか。辞めないで続けることが大事なようだ。
自分はすごいピアニストではない、と朗らかに言いながら「ピアノがあって人が集まるところならコンサートが出来るので、聴いてもらいたい、聴かせたい」。いつでも傍にある音楽を目指して、静かな情熱を注ぐ。
【田中拓未・ピアノリサイタル】2月13日(土)午後2時開演(1時半開場)、ルーテル市ヶ谷(総武線「市ヶ谷駅」7分)。チケット=3000円。
【申込み・問合せ】TEL080・3207・3797田中。

★このチケットを1組2名様に。応募方法はプレゼント参照。