足立朝日

34.「浅間(せんげん)神社」

掲載:2011年8月5日号
花畑5‐10
 ご祭神は木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)。創建は不詳だが、鳥居の年代や伝承から明治初年頃と考えられている。当時、この地域は見渡す限り田んぼ(野良)であったことから「野良浅間」とも呼ばれている神社だ。
 浅間神社には次のような言い伝えが残っている。かつて浅間神社は大鷲(おおとり)神社の裏手に存在していた。しかし、大鷲神社が祀(まつ)られると、次第に浅間神社に参拝する人が減った。
 そんな時、神社が消え、村人が探すと富士山の方角に血痕があり、その先の田んぼの中の小さな塚にご神体が安置されていた。これを見て村人は、浅間神社の前に鷲(わし)明神を建てたため、木花咲耶姫が浅間神社の本社のある方向へ逃げようとした際の無念の血痕だと語り合い、この場所にご神体をまつり、霊を慰めたという。
 同社は社殿を持たない神社で、富士塚の頂上に祀る浅間社をそのまま社名としている。神社の北に流れる毛長川流域では、古墳などが多数発見されていて、同社もその形態から古墳を利用したのではないかといわれている。この富士塚は、足立区有形民俗文化財になっている。
【問合せ】TEL3883・2908濱中宮司
【交通】東武線「竹ノ塚駅」からバス「花畑団地」行きで終点下車徒歩7分

写真上/文化財に指定されている富士塚
下/境内には緑も多い