足立朝日

VOL.4 ASA竹の塚東

掲載:2011年12月5日号
 箕輪周一郎所長が、開設40年近い老舗販売所を父・辰二氏から引き継いだのは、平成22年1月1日。「先代からは帝王学ではなく、『お客様と従業員あっての販売所。嘘をつかずに真摯であれ』という言葉をもらった」と語る箕輪所長。従業員には「自分が担当する区域を、経営者の感覚で考えてほしい」と望む。「どうすればお客様が喜び、自分や紙面のファンになってくださるか。何をやっても良いのであれば、働くことの意義も失う。新聞の目的を外れた品物による過剰サービスではなく、お客様と心を通わせることで信頼関係を築き、契約をいただくことが双方にとって一番幸せなこと」という信念を持つ。
 勤続年数13年、2世代に仕える圓目(まるめ)健次主任は、「解らないことは何でも所長に聞くが、解りやすい言葉で丁寧に何でも教えてくれる。本当に切れ者で、頼りにしている」と絶賛。それを受けて箕輪所長は、「昔、高学歴の先生がいて、優秀すぎるゆえに、僕がなぜ解らないのかを解ってもらえなかった。とても歯がゆい思いをしたので、いかに相手に解り易く話すかということを心がけている」と朗らかに笑う。
 この仕事の厳しさ楽しさについて、「お客様を増やせない時は心苦しい。月1発行のミニコミ紙のお客様の声で、従業員を褒められるととてもうれしい」と話す。圓目主任が「僕は現場担当なので、いかに増紙するかを常に考えるのがやはり大変」と言うと、箕輪所長はすかさず「それは僕自身が、地域貢献の方法を知らないという至らなさ」と引き取る。実際には、「新聞が溜まっていたら、ここに連絡して」と電話番号を託される関係を地域と築いているが、地域貢献をあえて弱い部分と自負し、自責として捉える箕輪所長は実に格好良い!
 経営上の数字も把握する圓目主任との信頼関係が、言葉の端々に匂い立つ。38歳の青年経営者は目下独身。日々、仕事に明け暮れる中、「タバコを吸わない、朝日新聞読者」の花嫁募集中!
 この頼もしい後継者に恵まれた先代は、今年1月下旬に黄泉の国へと旅立った。手腕を発揮した所長室で、父子2人の記念写真に納まった先代が、優しく息子に微笑みかけている。

写真/箕輪所長(前列中央)と圓目主任(所長右隣)を囲む仲間たち

●お店データ
★ASA竹の塚東
足立区保木間1―23―11
TEL3884・3722