足立朝日

あの町この店

掲載:2013年11月5日号
いのこ菓子店
千住旭町12-3 TEL6806・2306


 細い路地の小さな小さな洋菓子店。店構えの飾らないさりげなさは、行儀良く並んだかわいいお菓子たちそのもの。どれを食べても繊細でやさしい甘さが口の中にふわっと広がり、幸せな気分にしてくれる。
 パティシエ歴20年以上の鈴木淳子さんが1人で、愛情と手間をかけて丁寧に焼き上げている。7月の開店以来、「甘すぎず、本物の手作り感がいい」とファンが急増中。
 素朴でやさしい味の秘密は卵。平飼いと有機野菜や米ぬかなどで育った鶏が産んだ上質なもので、鈴木さんこだわりの素材だ。他の材料も便利で安価な代替品は避け、本物を使う。「余分なものが入らない、本来のおいしい味をわかって欲しいですね」とニッコリ。
 その時々に入った材料で作るので、日によって種類が違うのもお楽しみの1つ。年間通しての定番は、「王様のトルテ」(240円)。オーストリア皇室に献上されたウィーンの銘菓で、卵黄だけを使いバターもたっぷり。見た目はパウンドケーキのようだが、もっと軽い。それでいてキメが細かく、滑らかな舌触りに、ほのかなシナモンの風味が上品に香る。
 季節のフルーツたっぷりのしっとりした「タルト」(350円~)、「パウンドケーキ」(230円)は、常に5種類ほど。
 冷蔵のケーキは4~6種類。店頭に並んでいないので、見本を出してもらって。おいしいお菓子は、気持ちもふわりと溶かしてくれる。
 営業時間は午前11時~午後6時、火・水曜定休。

<交通>北千住駅東口徒歩3分

写真上/季節ごとの味が楽しめるケーキ
中/店主の鈴木さん
下/かわいい焼き菓子たち