足立朝日

92.「三十番神七面大明神社」 足立2-8

掲載:2018年4月5日号
 足立2丁目と3丁目の境を東西に通る道を「ばんじん通り」と呼び、その通り沿いにあるのが「三十番神七面神社」だ。通りの名前も、神社がこの地にあったことに由来している。
 昔は「弥五郎新田(武蔵千葉氏の家臣である京極弥五郎が新田開発をしたことからそう呼ばれる)の番神様」と呼ばれ江戸時代前から、この地の豪族であった鴨下家の屋敷神として祀られていた。
 三十番神とは、日本全国に散在する主に日蓮宗で信仰された30の神様が1日交替で守護する信仰。七面大明神は、日蓮宗の総本山身延山久遠寺(山梨県)の守護神として信仰された神様。いずれも日蓮宗の信仰に基づくものだが、これは日ノ出町にある日蓮宗清亮寺が荒川放水路ができる前は地続きで弥五郎新田内にあったことから日蓮宗信仰が村内に広まったと考えられている。
 まだ交通機関が発達していなかった頃には、人糞を貴重な肥料として町へ汲み取りに行ったり、野菜などの物資を運ぶ途中の安全を祈ったりしていた。また、「弥五郎の七面様にお願いすると、福徳開運が授けられる」と言われ、花畑大鷲神社の酉の市で農家衆が開いていた賭博へ行く前にお参りする人もいた。
【交通】綾瀬駅から、はるかぜ12号「西新井駅東口」行きで「足立三丁目(足立小学校)」下車、徒歩約6分

写真上/商売繁盛や交通安全を祈りにかつては日本橋や浅草からも参拝人が来た
下/近隣から集められた3つの庚申塔