足立朝日

93.「田中稲荷神社」 本木北町14-3

掲載:2018年5月5日号
 本木小学校の裏側にある稲荷神社は、通称「田中稲荷」と呼ばれている。祭神は農耕や商業の神様である宇迦之御魂命。
 冬木屋という江戸の材木商が現在の本木小学校を中心とした地域に別邸を作り、表と裏の鬼門に1体づつお稲荷様を祀った。その後1体を田中多四郎という人物に分社されたのが、この田中稲荷であると伝えられている。
 明治維新前には、冬木屋に出入りしていた深川の職人たちが冬木邸に集まって盛大な初午祭りを行い、江戸の人々の参拝で賑わった。
 境内入口の隅には2つの石造物が建っている。その内のひとつには「石橋建立解念仏 願主長心」と刻まれている。ここに刻まれている石橋は現在の本木小学校前の方にあった橋で、この石橋を渡っていくと不縁になると言われ、婚姻縁組などの際には渡ることを嫌い、皆まわり道をしていったという伝説がある。
 その他、境内には3本の区指定の保存樹があり、中でも一番古くて立派なスダジイの樹齢は300年以上と伝えられている。
 また、余談だが東和2丁目にも田中稲荷と呼ばれる神社があるが、ここの神社とは特に関係はない。
【交通】「北千住駅」から本木二丁目経由「西新井大師」行きのバスで「本木小学校前」下車、徒歩約3分

写真上/周りを住宅に囲まれた路地裏に建つ神社
下/入口の隅に建つ石造物