足立朝日

98.「元宿堰稲荷神社」 千住桜木町1-15-5

掲載:2019年1月5日号
 墨堤通り沿い、帝京科学大学そばに建つ「元宿堰稲荷神社」は、境内面積約290㎡と小さいが地元住民の信仰が厚い神社だ。
 祭神は宇迦之御魂命と大国主大神。同社には次のような由来が伝わっている。明治の初めに元宿堀に堰(水流を調節する仕切り)を作ることになったが、工事中に怪我をする人が続出。ある夜、工事の請負人の夢枕に狐が現れ「私を土手下に祀って欲しい」と頼まれた。翌日の工事現場から田中稲荷の石が見つかったので、堀の入り口に堰に使っているレンガと同じ素材で祠を作って祀ったところ、工事は順調に進んだ。この祠が元宿堰稲荷神社の始まりと言われている。
 昭和38年(1963)まで、近くに日本最大の東京電力の火力発電所があり、その巨大な4本煙突は見る方向により本数が変わるため、お化け煙突と呼ばれ名物に。同社は「千住四本煙突守護社」とも呼ばれ、企業発展の守護神として遠方の人からも厚い信仰を受けてきた。
 その他、境内には水神社、足立区の保存樹木に指定されているイチョウなどがある。
 2月3日には節分祭が午後3時頃から行われるが、その前の1日には「福豆てんこ盛り」と書かれた縁起の良いご朱印書きをしてもらえる。
【交通】「北千住駅西口」からバス「西新井大師」行きほかで「千住桜木」下車、徒歩約1分

写真上/奉納された鳥居の数からも信仰の厚さが伝わる
中/社殿の裏側に建つ水神社
下/縁起の良いご朱印