足立朝日

104.「古千谷浅間神社」 古千谷本町3-2-4

掲載:2019年10月5日号
 赤山街道沿いにあるスーパーベルクス足立古千谷店のそばに建つ小さな神社。歩道から1段小高い場所に石の鳥居と木造の社殿が鎮座している。
 祭神は木花咲耶姫命で、祭礼は毎年7月1日。詳しい創建などは不明だが、社殿の中を覗くと昭和12年(1937)の富士講の記念写真と絵馬が飾られていることから、当時の様子をうかがい知ることができる。
 盛大だったと言われる富士講は、だいたい20人ほどで構成されていて、千住四丁目の吉田屋で絵馬を買い、毎回4月1日に奉納していた。当時は、富士登山へ出発する1週間前に毎日越中ふんどし一本の姿になって、祝詞を唱えながら見沼代用水で身を清めていたという。そして当日は村中の人たちが一行を川口駅まで見送りに行った。さらに、富士登山を終えた一行を出迎えようと川口駅前には行列ができ、その後浅間神社に勢ぞろいして無事登山を終えたことに感謝して祝詞をあげたと伝えられている。
 村人たちのつながりの太さを感じる。ほんの一昔前まではこれが当たり前だったが、現代では隣近所の顔や名前すら分からないと言われる寂しい世の中になってしまった。こういった歴史から、人間関係の付き合い方について再度考えながら神社の参拝に訪れてみるのもいいかもしれない。
【交通】竹ノ塚駅西口から、バス「見沼代親水公園駅」行きほかで「古千谷」下車、徒歩約1分

写真上/赤山街道沿いに建つ神社
下/社殿に飾られた昔の神社の写真や絵馬