足立朝日

105.「舎人諏訪神社」 舎人2-21-12

掲載:2020年1月5日号
 見沼代親水公園の中央付近にある舎人諏訪神社。足立区有形文化財にも登録されている本殿や、毎年8月に舎人町会青年部による子ども相撲が行われることなどで知られる神社だ。
 詳しい創建は不明だが、本殿内にある棟札に天保7年(1836)と記されていることから、その頃にできたと思われる。祭神は建御名方命。
 本殿は、一間社流造で千鳥破風付、向拝正面に軒唐破風がつく社殿形式。屋根は総柿葺で、フェンス越しからではあるが、見事な彫刻の造りを見ることができる。
 同社にはいくつか語り継がれている伝説があるが、そのひとつに新里毛長神社との関係がある。同社は鳥居に対して斜め左に位置し、南東の方向を向いて建立されているが、これは草加市新里町にある新里毛長神社を向いているとされている。かつて新里村から舎人に嫁いだ娘が、姑との不仲が原因で川に入水し、その後を追って夫も自害。川から見つかった長い髪の毛を御神体として祀り毛長神社を建立。川の名前も毛長川と呼ばれるようになった。舎人でも亡くなった息子のために毛長神社の方向を向いた神社を建立。農家の息子を直接神に祀ることは許されなかったため、信州から建御名方命を勧請して諏訪神社とした、というものだ。「諏訪」という名前にこんな悲話があったとは!
【交通】日暮里・舎人ライナー「見沼代親水公園駅」から徒歩約7分

写真上/毛長神社の方向を向いていると言われる神社
下/本殿彫刻は江戸末期の神社建築の手法を知れる貴重物