足立朝日

ハイライト Vol.4 防災週間企画「星よりも、遠くへ」

掲載:2020年8月5日号
星空へ願いを込めて

 この8月、ギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で、防災週間企画「星よりも、遠くへ」が投影される。
 東日本大震災が発生してから、今年で9年――。宮城県で9543人、岩手県で4675人、福島県で1614人、他9都道県で67人、計1万5899人が亡くなり、未だ2529人が行方不明となっている(2020年3月1日警視庁調べ)。
 しかし、被災しなかった多くの人々の記憶は徐々に薄れていき、被災者の心は置き去りにされつつある。
 最も多くの死者を出した宮城県の様子を深く知る仙台市天文台は、被災地の博物館として震災とどのように向き合うべきか、繰り返し熟考してきた。
 大震災の夜、地上の悲惨な状況とは対照的に、夜空は満天の星が輝いていた。震災の象徴にもなったその「星空」を被災者の手記とともに残し、伝えていく取り組みとして、プラネタリウム番組「星空とともに」を制作。2012年3月に公開すると、同番組は大きな反響を呼び、2014年以降、全国のプラネタリウム施設でも投影されるようになった。
 震災から時が過ぎ、被災地の状況や被災者の気持ちが変化する中で、同作品では伝えきれなかった「星空」があることから、その第二章となる「星よりも、遠くへ」を2018年に制作。クラウドファンディングによって制作資金を集めて誕生した作品で、多くの協力者の心が融合している。
【ストーリー】大停電の被災地を満天の星が照らしていた。こんな星空を今まで見たことがない……予想だにしない苦難とともに被災者たちが見上げたのは、星空という名の「宇宙」だった――。
 東日本大震災の記憶を風化させず、防災に役立てることを目的としたプラネタリウム版ドキュメンタリー作品の想いが、まるちたいけんドームに引き継がれ、8月の投影が実現。今年3月に実施予定であったが、コロナ禍で断念した。
 これを機会に、親子で同作品を鑑賞して犠牲者へ想いを馳せ、災害について語り合ってはいかがだろうか。
【日時】8月29日(土)・30日(日)両日午後5時30分~6時15分【料金】無料(当日、午後3時より1階総合受付で整理券配布。先着順)*小・中学生は保護者同伴【問合せ】TEL5242・8161

写真/©仙台市天文台