足立朝日

Vol.223 柳家喬太郎 独演会~熱狂 喬太郎ワールドへいざ参らん!~

掲載:2022年6月5日号
鬼才 喬太郎の魅力全開

 足立区制90周年記念 千住落語会 vol.22「柳家喬太郎 独演会」が、「熱狂 喬太郎ワールドへいざ参らん!」を副題に、シアター1010で行われる。
 日本大学商学部在学中、落語研究会に所属し、4年次に関東大学対抗落語選手権で優勝を果たした喬太郎は、本名でフジテレビ「欽ドン!良い子悪い子普通の子おまけの子」にも「悪い下宿人」として出演。周囲からは、卒業後に芸能界入りすると思われていたが、「普通の生活」を求めて大手書店に勤務。しかし、落語への想いを断ち切ることができず、1989年、25歳で柳家さん喬の一番弟子として門を叩いた。当時、大師匠(さん喬の師匠)の五代目柳家小さんも健在で、代々続く「自由な環境」の中で噺家として伸び伸びと育ち、話芸を磨いた。
 「新作落語の旗手」として多くのファンを獲得し、「チケットの取れない落語家」の一人に名前を連ねるが、師匠譲りの古典落語もまた観客を虜にする。特に「井戸の茶碗」は圧巻だ。武士の魂を持ち続ける浪人の易者、爽やかな若侍、実直な屑屋などが仏像と茶碗を巡りやり取りを交わすが、喬太郎はどの人物にも深く入り込み、その人生を見事に生き抜く。
 怪談噺の迫力もまた、桁外れだ。明治期の大名人・三遊亭圓朝ものを得意とする喬太郎の「牡丹燈籠」は、観客の恐怖心をあぶり出し、とにかく「怖い」のだ。必聴!
 どの新作落語も、現代的な題材を巧みに構成し、創作力・演出力が並外れている。喬太郎ワールドは、マクラが最高に面白く、それ自体が「芸」となり、本筋へと誘う。
 シアター1010の舞台では、ゲストに紙切りの林家二楽を迎え、区制の節目に花を添えると共に、初恋がドラマティックに昇華された喬太郎の名作「ハワイの雪」を聞くことができる。新作落語の醍醐味を存分に味わえる至福の時間だ。
 古典落語も新作落語も変幻自在! 多彩な芸風と突き抜けた才能で、中毒者続出の喬太郎落語を堪能あれ!
【日時】9月11日(日)午後2時開演 ※開場は開演の30分前【料金】全席指定4000円 ※未就学児入場不可 ※フレンズ会員・足立区民割引あり【チケット発売日】6月25日(土)10時から ※窓口販売・予約引取開始・6月27日(月)【申込】TEL5244・1011