足立朝日

Vol.231 千住落語界vol.25 春風亭小朝 独演会

掲載:2023年8月5日号
10年ぶりの登場 小朝の魅力全開

 横丁の若様こと、粋な語りで観客を魅了する「春風亭小朝」が、10年ぶりにシアター1010に登場! ファン待望の「千住落語会」を独演会で飾る。
 少年時代から落語の才能を発揮し、1970年・五代目春風亭柳朝に入門。1976年・二つ目昇進。1980年・第7回NHK新人落語コンクールで最優秀賞を受賞。1980年には36人抜きで真打昇進を果たした。
 落語評論家・広瀬和生が著書で語るように、落語は「演目」ではなく「演者」を聴きに行く芸能であるならば、まさに小朝はその筆頭と言える。艶っぽさと洒脱さを兼ね備えた噺は勿論のこと、意味ある活動をさり気なく行う小朝は、その人生を生きる「演者」そのものだ。
 かつて当代随一の人気を誇った古今亭志ん朝の早すぎる逝去は、落語界に大きなショックを与え、その斜陽化を憂いた小朝の行動は迅速だった。笑福亭鶴瓶、九代目林家正蔵、春風亭昇太、立川志の輔、柳家花緑に自ら声掛けをし、想いを同じくする彼らと所属を超えて「六人の会」を結成。俳優業に邁進していた鶴瓶を落語家に復帰させてマスコミを騒がせたり、5万5千人の観客を動員した「大銀座落語祭」や、それを継承した「宮崎大落語祭」など、落語ブームを牽引する大イベントを次々と立ち上げた。
 テレビのバラエティー番組では軽妙なトークで場を盛り上げ、俳優としても活躍。特にNHK大河ドラマ「篤姫」「軍師官兵衛」「麒麟がくる」等での名演技は、小朝の新たな魅力を世に知らしめた。
 2015年・芸術選奨文部科学大臣賞受賞、2020年・紫綬褒章受章など、数多くの誉れにも慢心することなく、さらりと「小朝道」を歩む姿は爽快だ。
 2022年、建て替えによる「初代国立劇場さよなら公演」では、同劇場初となる歌舞伎と落語同時上演「歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵」として、小朝が忠臣蔵にちなんだ圧巻の落語二席を口演。
 頻繁に更新されるブログでは、小朝の興味の対象や、物の見方・考え方に触れることができ、ファンを喜ばせている。
【日時】10月13日(金)午後6時30分【料金】3800円、フレンズ会員・足立区民(在住・在勤・在学)割引あり【チケット】8月25日(金)午前10時発売 TEL5244・1011

写真/(C)岡本隆史