足立朝日

vol.233文化庁子供文化芸術活動支援事業 『大誘拐』~四人で大スペクタクル~ 子供無料鑑賞会 シアター1010で

掲載:2023年12月5日号
身代金は100億円!? 感動の結末に涙

 「戦後、最も独創的で人気のサスペンス」と評される「大誘拐」(原作: 天藤真/創元推理文庫刊)が、演劇となってシアター1010に登場する。
 出演は中山優馬、柴田理恵、風間杜夫、白石加代子。上演台本・演出は「奇跡の人」「身毒丸」「百物語」など数々のヒット作を生み出した笹部博司(㈱メジャーリーグ)。
 刑務所を出所した戸並健次(中山)は、仲間と共に紀州随一の大富豪である柳川家の当主・とし子(白石)を誘拐。身代金5000万円を要求するが、自分の価値を少なく見積もられたと激高したとし子は、「100億にしろ」と言い放ち、自ら身代金強奪の指揮を取り始める。
 一方、凄腕県警本部長・井狩大五郎(風間)が捜査に乗り出すが、とし子は柳川家の元家政婦・くーちゃん(柴田)宅をアジトに大誘拐劇を繰り広げる。
 同作品の演出を手掛ける笹部は「良い本を読むと、すぐに台本を書きたくなる」性分。数多くのストックがあり「大誘拐」もこの中から選ばれた、かねてからの念願の作品で、笹部の想いは深い。
 「4人の俳優には、魅力的な作品の魅力的な登場人物の軽やかでユーモア溢れる言葉を、セリフではなく、今、自分に起こっていることとして発してほしい。4人の登場人物には、均等に運命が配分されている。とし子との忘れられない思い出を持つ健次。とし子を大恩人と敬う県警の井狩。とし子を神のごとく崇拝する元家政婦のくーちゃん。それぞれの運命が重なり、大きな運命となって、100億円強奪を実現させる。戦争によって息子を失い、さらに税金という形で財産を奪おうとする『国』へのとし子の怒りが明かされる、白石・風間の対決は大きな見どころである。そしてドラマはそれでは終わらない。大金強奪に成功した健次が、とし子の元に戻り修行を始めるというエピソードで、この大誘拐のとし子のもう一つの狙いが示される。作者・天藤真は、そこに未来の日本に何が必要なのかを、そっと提示している」
【日時】2024年2月6日(火)・9日(金)=午後6時30分▼7日(水)・8日(木)・10日(土)・11日(日)=午後2時【料金】8800円、フレンズ会員・足立区民(在住・在勤・在学)割引有り【チケット】 TEL5244・1011