足立朝日

Vol.235 上田正樹R&B BAND

掲載:2024年3月5日号
上田正樹 第二章 シアター1010から

 今年開館20周年を迎えるシアター1010(佐々木太一郎館長)が、開館30周年のギャラクシティ西新井文化ホール(村田憲司館長)とコラボし、新緑の季節に「アメリカンルーツミュージックを体感する2日間!」を開催する。シアター1010には、「上田正樹」が登場! 日本のソウル・R&Bを牽引してきた上田と有山じゅんじが、金子マリをスペシャルゲストに迎えて「千住ソウルライブ」を贈る。上田の魅力と歴史を堪能できるひとときだ。
 上田が1972年に「金色の太陽が燃える朝に」でデビュー、さらに1974年に「上田正樹とサウス・トゥ・サウス」で一世を風靡してから52年――。その原点は、英国のロックバンド「アニマルズ」にあるという。医師であった父を追い、勉学を重ねていた18歳の時に、彼らの「ブーンブーン」を聞いて心と体が震えた。その時の「感動」が今も続き、上田が音楽を続ける原動力になっている。
 大好きな「レイ・チャールズ」に「あなたにとって音楽とは?」と問い、「僕の血のようなもの」という回答を引き出した時は、「血の成せる技にするにはどうすれば良いか」と自問自答。当初は無我夢中だったが、半世紀以上を経た今、「まだ血にはなっていないが、自分の中に何かがいると感じる」という。37歳で逝った父親の楽譜集を兄から託され、京都大学医学部在学中に「グリークラブ」で歌っていたことが判明。上田が感じる「何か」の根源かもしれない。
 1999年、日本文化解禁前の韓国でもアルバムデビュー。その中の「Hands of Time」は、ドラマ「ゴースト」の主題歌として記憶に新しい。その後のワールドワイドな活躍が、世界に上田の存在を知らしめている。「音楽こそが国も言語も超越する」と考え、今後もワールドツアーを実現したいと願っている。
 2011年、東日本大震災復興事業応援ソング「今ある気持ち」を制作したが、能登沖地震が発生した今、アレンジ曲をレコーディングする。「いつも『ここから』という気持ち。僕の歌詞も曲のグルーブ感も変わってきた。多様性のある舞台を観て聴いて、元気になってもらえたら」。上田正樹の第二章が、シアター1010から始まる。
【日時】5月3日(金・祝)【料金】4950円(会員価格あり)【チケット】 TEL5244・1011