足立朝日

大渕澄夫の千住スケッチ散歩<第1回>

掲載:2024年4月5日号
等身大の六地蔵
「千住の人の願いの聴き役」
千住2-11・勝専寺(赤門寺)


 今号から「大渕澄夫の千住スケッチ散歩」の隔月連載をスタートさせる。
 大渕さんが、この4年間に歩いて描いた千住の街のスケッチは何と200枚。寺社あり店舗あり銭湯あり……、新旧風景を取り交ぜたコラム付きスケッチをお楽しみに。

 創建は鎌倉時代。浄土宗の寺である。そして本尊は阿弥陀如来だ。当寺は赤門、お閻魔様で有名であるが、境内の北側に高い生垣をバックに等身大の六地蔵が立っている。私は今まで都心部の寺院でも、これほど立派な石仏にはお目に掛かることは無かった。阿弥陀如来は崇高故に願掛けしにくいが、親しみのある取次役の地蔵様には人々は願い事を託したのであろう。千住のガイドブックにもこの六地蔵のことは触れていないが、台座には寄進した人の名が刻まれていた。千住宿の当時の経済、文化の豊かさをこの台座は如実に物語っているように見えた。私はじっくり調べたいと思った。もっともっと面白いことが解る様な気がしたのである。

大渕澄夫(おおぶち・すみお)/千住在住20年。建築画家、インテリアデザイナー、アトリエO代表。「公社ニュースときめき」にて2年間「足立100景」の素描を担当。