足立朝日

辰沼団地自治会 桑原孝之会長(73歳)

掲載:2008年10月5日号
 辰沼小学校の奥に広がる272世帯の辰沼団地。
その自治会をまとめる桑原孝之会長は、老人クラブ「辰友会」会長も兼ねて、自治会の運営に心を注ぐ。
お年寄りパワーあっての自治会運営
 現在、防水会社を経営する桑原会長は、かつては調理師。9月の敬老祝賀会時のご馳走は、桑原会長が腕を振るう。今年の祝賀会には、70人以上が参加したが、そもそも65歳以上の居住者は245人。その一人ひとりに赤飯・お菓子・お茶を贈った。会計の岡野昇さんによると、煮物もお赤飯も全て会長の手作り。前の晩から60㎏のもち米を仕込む。「だって、買うと高いでしょ」と微笑む桑原会長だが、それは「心」がなければできないこと。どの町会・自治会も高齢化を課題とする中、桑原会長は「若い人も勿論頑張ってくれているけれど、うちは年寄りパワーがあってこそ成り立つ。
年寄りが元気でいるためには、遣り甲斐のある仕事を責任を持ってまっとうしてもらうのが一番」と、逆の発想。
 その想いを受けて、お年寄りは実に元気だ。毎朝8時と午後3時の辰沼小児童の見守り活動や夜のパトロール等々、その活躍の場は限りがない。独居世帯にとって心強いのは、老人クラブが中心となって行う友愛訪問活動。区・都の依頼を受けたこの活動の成果は顕著で、同自治会での孤独死は1件もない。
年間行事で住民が一番盛り上がるのは、7月の盆踊り。団地内外を問わず地域住民を受け入れるため、2日間で子どもに配るお菓子袋は700以上。同団地から巣立った子どもたちが、孫を連れて里帰りをする嬉しい日でもある。
自身に課せられた役割をまっとうしながら、各部で黙々と活躍する役員方に感謝しつつ、お年寄りが毎日生き甲斐を持って暮らせるよう、桑原会長は試行錯誤を繰り返す。