足立朝日

Vol.35 Animal Therapy

掲載:2008年11月20日号
Animal Therapy


 人間はなぜ犬を飼うのか? その理由はさまざま。大昔の目的は家畜の番や猟の助けがほとんどだったが、エジプト時代から犬や猫をペットとして飼うという記録が残っている。
 番犬や猟犬は仕事を与えられ、人間の暮らしに役立つ役名をもっているが、ではペットはこれだという仕事はないのか? いえ、ペットにも大きな仕事がある。それは人間の心に安らぎを与えたり、精神状態を癒すという仕事。医療の専門用語では「アニマル・セラピー」と言う。精神障害に悩まされる人、重い病気と戦っている人、身体障害者の救済などにはアニマル・セラピーが取り入れられ、動物のヒーリング力が今では世界中に注目の的になっている。
 近年、高齢者と動物との共生が見直され、オーストリアの老人ホームでは、ペット同伴の入居が可能になった。動物と一緒に暮らすという楽しさと責任をもって世話をすることが老後生活の励みにもなるし、「惚け」という老化現象を食い止めるにも役立つということ。
 しかし病人だけではなく、健康な人間にとってもペットのヒーリング効果は大きい。現代社会の目まぐるしい変化によって傷だらけにされている私たちの心は動物との共生によって癒され、不安定になる精神状態を正常に治してくれる。
  名医でも治すことができない心の問題を動物の無限の力で解決されてしまう。とくに犬は自分のことを後回しにしても、飼い主を喜ばせたり励ましたりすることで一生懸命だ。考え方によって、犬は医者より頼りになる救済者。(マルコ・ブルーノ)