足立朝日

Vol.1 わたし、犬が欲しい

掲載:2005年6月20日号
わたし、犬が欲しい
「わたし、犬が欲しい」
 空前のペットブームに酔いしれている日本では、親が耳にする子どもの頼みとしては珍しくない。家に犬がやってくる! 毎日の会話に花は咲くし、胸がドキドキしてしまう。常識的に考えれば、このような結果になるはずだが、「常識」という言葉が消えてしまった現代の日本社会では、犬は喜びではなく、家族の悩みの種になってしまうことが多い――多すぎる。そして忘れてはいけない大事なことは、常識のない無責任な飼い主に悩みの種にされてしまった犬たちは、大迷惑だ! 「犬が欲しい」と「犬を飼う」、それは同じことではない。このちがいを理解できず、犬を飼い始めると、家族にも犬にも悲劇がやってくる。各地の保健所に持ち込まれたりゴミのように捨てられたりする犬たちの数がそれを物語っている。「わたし、犬が欲しい」と子どもに言われたら家族会議を開いて、まず、みんなで慎重に議論して欲しいことがある…《私たちが、飼い主としての責任を果たす覚悟があるのか?》 それが犬を迎えるための大事な第一歩だ。(マルコ・ブルーノ)
マルコさんHP

亡くなった愛犬JJとマルコさん

【プロフィール】
 1945年、オーストリア生まれ。20歳のときに来日し、以来40年。作曲家、作詞家。映画「ナイル殺人事件」の主題歌などを作詞し数々のゴールデンディスク賞を受賞。翻訳やノンフィクション作家、プロの写真家としても知られ、多彩な活動を展開している。著者にポプラ社「ペットはぼくの家族」。ハート出版「マルコの東方見聞録」、「幸せな捨て犬ウォリ」、「犬に尊敬される飼い主になる方法」などがある。20年前から動物ボランティアの活動をはじめ、捨て犬や捨て猫の里親探しに取り組む。東京MXテレビで日本初の里親探し番組に出演。1987年2月、オーストリアのフィラッハ動物愛護協会より名誉賞を受賞。同年3月国際文化交流学園より第7回地域社会活動の特別賞を受賞。