足立朝日

Vol.9 ゴミ同然の生存権

掲載:2006年2月20日号
ゴミ同然の生存権
 日本の法律がめまぐるしい現代社会に合わず、平等の権利が幻だということを、事件に巻き込まれ、被害者になったときに痛いほどわかる。あいまいな表現の多い日本の法律は、解釈によって、どうにもなってしまう。
 人間に対してもそうだから、動物のことになると法律上の扱いは最低。動物愛護法に「動物が命あるものである」と定めてあるにもかかわらず、「御上」の勝手な解釈によって動物はモノ以下とみなされてしまう。調べてみると、背筋が寒くなるような恐ろしい項目が山ほどある。
今回一つだけ紹介しましょう。
 たとえば落とし物に関する法律。電車やバスなどに置き忘れた私物を落し物として6カ月間保管しなければならない法律がある。高価な物でも、百円ショップで買ったビニール傘でも保管期間は同じ。持ち主が6カ月以内に取りに来なければ、初めて処分することが許される。
 迷子になってしまった犬も法律上同じ落し物扱い。
 えッ?知らなかった?そうだよ、命のある犬も日本では落とし物扱いになっている。霞ヶ関のタコ官僚がいったい何を考えているのだろう、と頭を抱えてしまう。でも驚くのはまだ早い。法律上ではモノと同じ扱いなのに、迷子犬は容赦なく短時間で殺処分されてしまう。その上、処分できる期間が都道府県によって異なっている!短くて3日、長くても7日!
 呆れてものも言えない!誰も取りに来ない安っぽい傘が6カ月間保管されているのに、尊い命は数日間だけ。これが日本流の「平等の権利」!
 そうよう、あなたの大切な家族、今あなたを優しく見つめているワンちゃんの生存権は、法律上ゴミ同然。(マルコ・ブルーノ)

山梨の「犬捨て山」に捨てられた美犬のルーシーとマルコさん