足立朝日

Vol.12 自己満足!虐待! それがしつけ?

掲載:2006年5月20日号
自己満足!虐待! それがしつけ?
 犬のしつけ? ちょっと待ってよ! 自分の子どものしつけもちゃんとできないくせに、犬のことになると、日本人はやたらとしつけにこだわりたがる。
 ご飯をあげる前に、「オテ!」「オカワリ!」「ゴロン!」
 腹が減っているから、犬は仕方がなくこのくだらない命令に従うふりをするが、内心は「バカヤロ!ガタガタ言わずに飯を早く置いてくれ!」と思っているにちがいない。「オテ」などがしつけだと思っていたら大間違い! これは単なる飼い主の自己満足にすぎない。
 もう一つ大きな問題は暴力だ。女房に対する暴力、子供に対する暴力が社会問題にもなっている日本では、当然のこと、飼っている犬に対する暴力も決して珍しいことではない。飼い犬を毎日のように、ぶったり蹴っ飛ばしたりをしても、「俺は犬のしつけをしている」と言ってしまえば、それでOK。誰が見てもこれは動物虐待だと思うような暴力行為でも、虐待という定義がはっきり示されていない動物愛護法では、「しつけ」として罷り通る日本。
 飼い主の自己満足のためのしつけはいらない!暴力によるしつけも以ての外!
 人間の子供と同じように、家族の一員である犬は家庭そして社会のルールを覚える必要がある。それを暴力、つまり恐怖をあたえることによって教えるのではなく、愛犬との信頼関係とお互いの理解に基づいて自然に身につけるものだ。(マルコ・ブルーノ)

山梨の野犬が冬山に出産したドロシーとマルコさん