足立朝日

鹿浜押部町会 鹿浜清 会長(77歳)

掲載:2009年6月5日号
故郷と呼んでもらえるような町づくり

 足立区の西に位置し、環七の北側に広がる鹿浜、江北、加賀、谷在家の一部を擁する広大なエリアが鹿浜押部町会だ。
 4年前に就任した鹿浜清会長は、区議会議長を2回務め、現在も区議として多忙な日々を送る。住民から日常的に相談が持ち込まれるなど、頼りになる存在として町会をまとめている。

 地名と同じ「鹿浜」姓が多いことから、小さい頃から屋号や下の名前にちゃん付けで呼び合ってきた住民たちの団結力は強い。約半数の1500戸が加入。それを10部に分けて部長が担当、さらにその下で組長が20戸ずつ担当し、確実な連絡網を作り上げている。
 広い町会を把握するため、副会長は7人。それぞれが交通、防犯、防災、文化教育、環境衛生、神社、事業担当総括の7部の責任者を兼ねる。40~50人が集まる毎月の定例役員会では、副会長が各部の活動等について発表。先日は交通安全活動が評価され、西新井警察署から表彰された。
 毎年5月、阿弥陀院で行われている「百万遍」は足立区無形民俗文化財。7mもの長い数珠を十数人で持ち、1回で10万回、10回まわして100万回念仏を唱えたこととするもので、江戸時代から続いている。
 戦争による中断を経て保存会が続けていたが、「このままではすたれてしまう」と懸念した鹿浜会長が、町会主催に変更。今年はこれまでの倍の60~70人が参加した。現在、数珠を大きいものに買い替えるため、都に補助金を申請中だ。また元旦には八幡神社で無病息災を願って、獅子舞も行うなど、伝統継承を大事にしている。
 「すごいよ、うちの祭りは!」と会長の声に力が入る恒例の夏祭りは、毎年2000人が集まるほどの盛況。山車を引きに子どもたち500人が集まり、町内を練り歩く。夜は押部南公園が人で埋まるほどの賑わいだ。
 「安心安全で心豊かで住みよいまちづくりのために、お互いに協力し合って頑張っている。この町会に生まれてよかった、もっと住み続けていたい、そして故郷と呼んでもらえるような、そんなまちづくりが希望」と会長は語る。