足立朝日

Vol.17 社会貢献の嘘と誠

掲載:2007年5月20日号
社会貢献の嘘と誠
 「当選した暁に、私は命をはって社会貢献に取り組む所存でございます!」
 あれッ? どこかで聞いた話だね……。そう、政治家の選挙演説に必ず出てくる定番の言い方。とくに今年のような選挙の多い一年では、上記のスローガンを耳にタコができるほど聞かされる。それぞれの党の方針に従って選挙運動を進めているにもかかわらず、バカの一つ覚えのように、みんなが同じことを言う。
 しかし選挙後、社会に貢献してくれる当選者は少なく、叫んだ公約の一つも実行できない政治家だっていくらでもいる。そのことでガッカリしている有権者に、今回、「社会貢献」に因んだおもしろい選挙話がある。「社会に貢献しま~す」と言った政治家ではなく、本人のポスターが貼られている看板が社会に貢献しているという話。
  え~!? と笑ってしまう人が多いかもしれない、でもそれが選挙の愉快な裏話の一つだ。
  先月の「日本一の犬不法投棄現場」という記事を覚えている? そう、そう、山梨県の山奥に集められた犬たちのこと……選挙のお陰で、あそこのかわいそうな犬たちのために立派な犬舎ができあがった。
  選挙を行うたびに、選挙ポスターを貼り付けるための看板が至る所に設置され、そして選挙後、この看板を支える新品の角材が廃棄処分にされてしまうことを知っていた?
モッタイナイよね!
 選挙にもよるけれど、足立区では1回の選挙で使用される角材が約2000本! 足立区だけでもこれほどの数が使われると、東京や日本全国で選挙のときに用意される角材の数は想像を越えるほど多い。つまり、選挙を行うたびにどこかの森が消えてしまうほどの数だ。社会貢献って聞いてあきれるよ ね。だってそうでしょう、国民に環境意識をしつこく押しつけながら、行政はあいかわらず無駄遣いのやり放題。
 でも足立区はちがう。選挙看板の設置を請け負っている中里建設が、回収されてくる角材を山梨の犬たちのために寄付し、立派に社会貢献をしている。現在は約 90頭の犬たちがその恩恵を受け、不安のない快適な暮らしができるようになった。(マルコ・ブルーノ)
◎中里建設の皆さん、犬たちの代弁者として、心から感謝申し上げます。

選挙用の角材で建てられた犬舎