足立朝日

6.「稲荷神社」(橋戸稲荷)

掲載:2009年7月20日号
千住橋戸町25
氏子=千住橋戸町




 ご祭神は倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)。
 境内の縁起碑によると、延長4年(926)に創建された。はじめは千住の渡し場のほとりの小高い丘に小さな社が造られ、土地の開拓農民や荒川の上流から江戸に荷物を運ぶ船頭たちの信仰を集めた。
 本殿は延徳2年(1490)、拝殿は文久2年(1862)に建立された。安政6年(1859)に本殿再建。本殿は区内唯一の土蔵造りで足立区登録有形文化財となっている。
 観音開きの扉の内側には、伊豆長八が画いた鏝絵(こてえ)がある。夫婦の白狐で向かって右扉に雄狐、左扉は雌狐が子狐を抱き、背後に稲穂が描かれている。関東・東海の各地で長八の鏝絵は見られたそうだが、震災、戦災で多くが失われ、現存する作品は貴重。静岡県賀茂郡松崎には「伊豆長八美術館」がある。
 平成10年に鏝絵の修理が完了し、レプリカも完成した。レプリカは拝殿前に展示されているが、本殿は年に3回しか開扉されない(2月3日・5月15日・例祭9月15日に近い日曜)。また、境内には保存樹が多くある。


写真上=拝殿
写真中=鏝絵レプリカ母子狐
写真下=同父狐



※氏神様紹介は都神社庁発行の掲載名簿順に順次掲載。次回は千住4丁目氷川神社と千潮金刀比羅宮