足立朝日

工場を改装した不思議な劇場 「GEKI‐kisyuryuri」 11月に宮沢賢治の舞台上演

掲載:2018年11月5日号
 町工場を改装したユニークな劇場が綾瀬にある。鉄骨の梁、むき出しの床、四方を囲む窓の外からは車や生活音が入り込み、舞台に独特の色を添える。席数30ほどの小さなホールで、貸しスタジオも兼ねる。
 「GEKI‐kisyuryuri(劇‐貴種流離)」のアトリエ兼劇場だ。主宰・大村朱童さんと俳優兼制作主任・湯田華奈美さんの2人だけの小さな劇団で、一昨年12月の設立以来、仲間の俳優たちとともに2カ月に1本、上演している。
 大村さんはアメリカで演劇を学び俳優として活動後、国内で若手俳優の育成をしていたが、40代で舞踏を学ぶため6年間ヨーロッパを放浪。環境や学校教育など、舞台芸術・文化に親しむ素地が養われている様を目の当たりにした。「パリにはバーが併設された小さい芝居小屋がいっぱいあって、日常的に気軽に演劇や舞踏を観に行く。そこでやらせてもらい、日本にもあったらいいなと思った」。演じ方の違いも実感。「日本の俳優は頭、記憶で演技するが、海外は五感を使い雰囲気を作る」。この劇場は、世界に通じる俳優の育成と作品作りの拠点であり、「何もない空間に、命の風景をつくること」を目指す。
 今月、宮沢賢治が題材の「KENJIの妹」を上演する。賢治自身の童話・詩・書簡、証言などで構成された大村さんの描き下ろし。賢治の妹役は今年の上半期読売演劇大賞にノミネートされた那須凛(劇団青年座)。「親や親になる人たちに観に来て欲しい」と大村さん。自身も賢治役で出演する。
◆舞台「KENJIの妹」
 KENJIの生きた時代から100年後の未来、妹・Toshiは再び地上に生まれ学校の教師をしていた。生き方を見失った彼女の前に、KENJIとその童話の中の人物が現れる――。
【日時】11月29日(木)~12月8日(土)。29日・3~6日=19時、30・7日=18時、1・2・8日=15時(30分前開場)
【場所】Geki‐kisyuryuri(東綾瀬2‐18‐14-2F/綾瀬駅からはるかぜ「六ツ木都住、八潮駅南口行」で「東和一丁目」下車すぐ、ラーメンばんだい向かい)
【料金】3500円
【問合せ】TEL080・4413・1814湯田(10時~22時)、gekikisyuryuri@gmail.com

写真/劇団の主宰・大村さんと俳優・湯田さん