足立朝日

伝統野菜・千住ネギ区内5小学校で種まき 生命をつなぐ大切さ学ぶ

掲載:2019年8月5日号
 今年も区内の小学校の授業の一環として、「千住ネギ」の栽培が始まった。
 2015年に平野小、栗原北小、千寿双葉小の3校でスタートし、昨年度から西伊興小、今年から保木間小が加わり5校で実施された。
 千住ネギは戦前まで区内で盛んに栽培出荷されていた江戸東京野菜で、白い部分が多く加熱すると甘みが出るのが特徴。授業では何世代にもわたって栽培できる「固定種」を使用し、種から育てた子どもたちが採取した種を次の学年につなぎ、生命をつぐ大切さや、足立区の農業の歴史、食の大切さを経験しようという取り組み。昨年度は採れたてのネギの調理や試食をする学校もあり、ネギ嫌いの子も「甘くておいしい」と喜んで食べたという。
 西伊興小学校(中郡英一校長)では7月12日(金)、5年生(3クラス計83人)が、足立区農業委員の指導のもと種まきを行った。
 足立区農業委員会の荒堀安行会長は、「今の野菜は1代限りのF1種。千住ネギは昔から作られてきた。地名の入った野菜を残していきたい」と生徒たちに語りかけた。
 昨年栽培した6年生から5年生への種の伝達が行われたが、昨年は残念ながら種ができなかったことから、「ぼくたちはうまく育てることが出来なかったけど、頑張って次の5年生に渡してください」と、種と共に思いが託された。
 江戸東京・伝統野菜研究会の大武道茂代表が、足立区で昔から栽培されてきた野菜や関東と関西のネギの違いについてレクチャー。関西では緑色の葉の部分が多いが、関東では「土寄せ」で白い部分が多いことなどが説明された。
 配られた種の匂いを嗅いだ子どもたちからは「スースーする匂いがする」「ネギっぽい匂い」の声。小さな種をこぼさないように、一粒一粒丁寧にプランターに蒔いていた。
 夏休み中は交代で水やりなどの世話をし、8~9月に畑に定植、2月にネギを収穫し、5月に次の栽培用に採種をする予定。子どもたちは1年かけて、千住ネギを育て、次世代へとつないでいく。

写真/プランターに丁寧に種をまく子どもたち=西伊興小で