足立朝日

この本

掲載:2020年2月5日号
★「渋沢栄一 人生とお金の教室」香取俊介・田中渉著/日本経済新聞出版社・日経ビジネス人文庫/850円+税
 「日本資本主義の父」と称される渋沢を高く評価する2人の熱い作家が、新たな切り口で渋沢の実像に迫る異色の企業物語を上梓! 
 一人は、NHK元プロデュ―サーで、大河ドラマ「山河燃ゆ」(共作)「さすらい刑事」などの脚本を手掛けた作家・脚本家の香取氏。同氏は、かつて足立区に「日本脚本アーカイブス準備委員会」が設置された時、委員長を務め、足立区と縁が深い。もう一人の田中氏は、数々の映像作品のプロデュースを手掛ける電通マンで、今回、挿絵・タイトルデザイン・表紙等を担当。
 この2人がタッグを組んだ同書は、ファンタジーとユーモアに溢れ、どのページからも登場人物の息遣いと豊かな色彩が感じられる。世にある堅苦しい渋沢本ではなく、神の使いと言われる八咫烏に変身した高校生の「僕」が幕末にタイムスリップし、渋沢の想いや行動を目の当りにして起業のノウハウを学び、成長していく奇想天外なストーリーだ。「僕」を取り囲む人々も魅力的で、物語に花を添える。過去と現在を行き来しながら、登場人物の生き生きとした姿を体感。
 巻末には、同書で語られた渋沢の言葉がまとめられ、メモ欄を利用すれば世界に一つの「マイ ノート」に。渋沢の言葉が「人生の宝物」になりそうだ。