住宅街の路地に佇む古い木造平屋の一軒家「KiKi千住東の家」。シンプルな外観だが、一歩中に入ると心落ち着く空間が、やさしく包むように迎えてくれる。
漆喰の壁、木枠の引き戸、天井の梁、畳の小部屋――築90年の建物を癒しの場として再生活用しているのは、高木正太郎さん(30)、木皿千智さん(29)夫妻。「暮らし方をデザインする」夫婦ユニット「KiKi」の拠点だ。
2018年、イベントスペースを兼ねた住居としてスタート。現在住まいは移したが、愛着ある家をこの先も残していきたいと、6月1日(月)、建物内に日本茶喫茶&ノンアルコールバー「暮らしの茶寮」をオープンした。新しい飲料スタイルを提供したいと開発した、日常シーンに寄り添う3種類の「時をつくるお茶」や和菓子などを提供している。
2人はそれぞれ他区に住んでいたが、結婚後の新居として改装可能な物件を探していて、この家と遭遇。中はかなり荒れていたが、個性的な梁が決め手になったという。
土日に自分たちでDIYを行い、7カ月かけて改装。美術大学でデザインを学び、趣味でDIYのノウハウもあった木皿さんは「自分たちで作る方が理想の家に住めるので」と作業の苦労も楽しんだ。
元からある壁や引き戸を極力そのまま残したのは、「家の歴史を感じて欲しいので」と、環境デザインを学んだ高木さん。完成後は「住むだけでなく、自分たちがいいと思ったものを紹介する場にしたい」と、日常を豊かにする良質な品々を提案してきた。中でも日本茶への思いは強く、ワークショップ参加者だけでなく「町の人にも利用して欲しい」との思いが、茶寮オープンへとつながった。「日本茶で憩いの場になれば。ここに来ると何かしら面白いことに出会える場所にしたい」と話す。
「自給力を高めること」がKiKiのコンセプト。「例えば隙間にピッタリの家具を作るとか。理想の暮らし方をすれば、何があっても大丈夫と思えるようになる」と木皿さん。
居心地のいい場所、着心地のいい服、時間を作るお茶――。流行や慣習に合わせるのではなく、ちょっとだけ手を伸ばして自分の「心地良さ」を日常に取り入れることで、生活も気持ちも豊かになる。
そんな新しい価値観を発信する場所として相性のいい千住を、木皿さんは「許容してくれる感じ。外からの人を受け入れる体制が出来ていて、個人で何かを始めやすい」、高木さんは「いろんな色があるのがいい。大企業のビルの多い街のように均質化されていないで、個々が深い」と語る。
今、千住で活動する同年代が集うシェアハウスを計画中という。「輪を広げて、今の良さを生かしながら、街に新しい刺激を与えたい」と高木さん。若い人たちの視点と力が、街の人と溶け込み、新しい息吹となっている。
◆「暮らしの茶寮」(千住東1‐16‐2)月~金=午後2~5時・午後7~10時、土日=午前11時~午後6時、火曜定休。レンタルスペースとして貸し出し可。
写真上/デザイン・ものづくり担当の木皿さん(左)と場づくり・お茶くみ担当の高木さん
中/一角には畳の小部屋や本棚も
下/昼は日本茶喫茶、夜はノンアルコールバーで癒しの時間
漆喰の壁、木枠の引き戸、天井の梁、畳の小部屋――築90年の建物を癒しの場として再生活用しているのは、高木正太郎さん(30)、木皿千智さん(29)夫妻。「暮らし方をデザインする」夫婦ユニット「KiKi」の拠点だ。

2人はそれぞれ他区に住んでいたが、結婚後の新居として改装可能な物件を探していて、この家と遭遇。中はかなり荒れていたが、個性的な梁が決め手になったという。

元からある壁や引き戸を極力そのまま残したのは、「家の歴史を感じて欲しいので」と、環境デザインを学んだ高木さん。完成後は「住むだけでなく、自分たちがいいと思ったものを紹介する場にしたい」と、日常を豊かにする良質な品々を提案してきた。中でも日本茶への思いは強く、ワークショップ参加者だけでなく「町の人にも利用して欲しい」との思いが、茶寮オープンへとつながった。「日本茶で憩いの場になれば。ここに来ると何かしら面白いことに出会える場所にしたい」と話す。
「自給力を高めること」がKiKiのコンセプト。「例えば隙間にピッタリの家具を作るとか。理想の暮らし方をすれば、何があっても大丈夫と思えるようになる」と木皿さん。

そんな新しい価値観を発信する場所として相性のいい千住を、木皿さんは「許容してくれる感じ。外からの人を受け入れる体制が出来ていて、個人で何かを始めやすい」、高木さんは「いろんな色があるのがいい。大企業のビルの多い街のように均質化されていないで、個々が深い」と語る。
今、千住で活動する同年代が集うシェアハウスを計画中という。「輪を広げて、今の良さを生かしながら、街に新しい刺激を与えたい」と高木さん。若い人たちの視点と力が、街の人と溶け込み、新しい息吹となっている。
◆「暮らしの茶寮」(千住東1‐16‐2)月~金=午後2~5時・午後7~10時、土日=午前11時~午後6時、火曜定休。レンタルスペースとして貸し出し可。
写真上/デザイン・ものづくり担当の木皿さん(左)と場づくり・お茶くみ担当の高木さん
中/一角には畳の小部屋や本棚も
下/昼は日本茶喫茶、夜はノンアルコールバーで癒しの時間