足立朝日

親子が居心地のいい場を 「コミュニティKoen てらまちハウス」始動 おにぎり店も併設

掲載:2021年4月5日号
 子育ての孤立を防ぎ、親も子も心地良く過ごせる場を作りたい――。そんな思いの詰まった新たな挑戦「コミュニティKoen てらまちハウス」(東伊興4-14-4)が、4月1日(木)にオープンした。
 運営するのは任意団体「コミュニティKoen」(山本亜紀子代表)。「うちの子」から「地域の子」「みんなで育てる」という子育ての環境づくりを目的に2015年に設立。公園や施設での活動、社会福祉協議会の「のびのび親子広場」のイベントなどを行ってきた。
 山本さん自身、中3、中1、小3の3人の子育てをする中で「子どもを自分だけで育てるのは窮屈。大人の目がいっぱいある方がいい」と実感。家、職場、学校では無意識に役割を担っていることに気づき、それから解放される第3の場所『サードプレイス』の必要性を感じたという。
 当初から拠点を持つのが念願だったが、Webメディア「トネリライナーノーツ」編集長の大島俊映さん(古千谷本町・全學寺副住職)のイベントで出会い意気投合した、あだち子ども食堂「たべるば」の川野礼さん経由で、10年以上空き家になっていた元学習塾の一軒家の話が舞い込んだ。オーナーの「地域、子どものために使ってほしい」との思いとも見事にマッチし、とんとん拍子に話が進んだ。
 竹ノ塚駅から徒歩15分強の立地だが、山本さんは「抜群の環境。近くに児童館や小学校があって、寺町を散策する人も多い」と、地域の人たちとつながりやすいことを喜ぶ。この地域が寺院が多く「伊興寺町」と呼ばれていることから、「てらまちハウス」と命名。昨年11月に庭で開催した「はじめましてバザー」には100組以上が訪れ、手ごたえを得た。
◆にぎりむすび
 建物のリノベーションは古民家和カフェ「ろじこや」(千住旭町)を手がけた建築家の猪又嵩史さん(「distance art studio」代表)に依頼。コストを抑え、気張らずに楽に過ごせる場所が完成した。
 1階は乳幼児親子が自由に過ごすことができるスペース「こまど」。2階は貸事務所と貸スペース、広い前庭はイベントやキッチンカー用にレンタルも可能だ。
 1階のキッチンには、おにぎり店「にぎりむすび」を開店。「働きたいお母さんたちの講習の場、チャレンジの場になるし、地域の人たちとかかわりができる」と山本さん。
 定番のたらこ、鮭などのほか、とりマヨ、ネギみそなど11種類のおにぎりに加え、豚汁、卵焼きもあり、ランチにピッタリ。メニュー開発担当の長村孝則さんの厳しい指導で腕を磨いた「にぎり娘」たちが、自信をもって提供する。
 営業プランナーの川野さんが販路を開拓した暁には、収益の一部を「たべるば」の運営に充てる予定という。
 3月31日(水)にはオープンイベントが行われた。屋内は母親向けのパソコン時短塾、親子向けの「はじめてのSDGs講座」、六町駅前商店会reskによるキッズ向け漆喰ワークショップなど多彩な内容。屋外ではヨーヨー釣りやキッチンカーもあり、船出にふさわしい一日となった。
▼「てらまちハウス」午前10時~午後4時(土日祝定休)
▼「にぎりむすび」午前11時~午後2時(不定休)。イートイン=カウンター6席(当面4席で営業予定、外デッキでの飲食も可能)、テイクアウトあり

写真上・中/好天に恵まれたオープニングイベント
下/代表の山本さん