7月12日(月)、介護施設「足立ケアコミュニティそよ風」(梅島2丁目)で、お年寄りが集まるロビーに大衆演劇の幟旗が立った。劇団の名は「尾上(おのうえ)劇団」。「素人ボランティア劇団」の肩書き通り、発起人の丸山幸男会長、加藤和子座長、スタッフも全て素人だ。だが、埼玉を中心に新潟や福島にも遠征するなど、志と活動はプロにも負けない。
劇団誕生は10年前。埼玉県越谷市で理髪店を営み、知的障害者施設などで無料散髪のボランティアをしていた丸山会長が、「日本の礎を作った高齢者に、笑いと涙の無料出前芝居を届けたい」と一念発起。装道加藤きもの学院(南埼玉郡)学院長の加藤さんが2代目座長となり、今では80人ほどが在籍する。
公演は交通費も含めて完全無料。賛同団体の支援金や助成金、会費などで賄うが、赤字は丸山会長個人の負担という。「高齢者施設の利用者は親だと思っている。親のところに行ってお金をもらうなんて、とんでもない」と加藤座長。
この日の公演は478回目。冒頭で握手をしながら客席を回ると、長良川艶唄、連獅子風の舞い、職員参加のきよしのズンドコ節など次々と披露。丸山会長のサービス精神旺盛な進行に、ホールは笑いと手拍子に包まれた。
クライマックスは「岸壁の母」。自身が戦争の引き上げ者という加藤座長の涙ながらの迫真の芝居と歌に、むせび泣くお年寄りの姿が見られた。椎名施設長代理も「いつも笑わないような人が笑っていた。泣かないような人が泣いていた」と驚く。「喜ばれることは何ものにも代えがたい。お金じゃない。多くの人に見てもらいたい」「我々はお呼びがかからなければ、参上できない。ぜひ足立区にも寄与したい」。丸山会長と加藤座長の想いは熱い。
尾上劇団では老人会や福祉施設など、公演先を随時募集中。ただし平日のみ。無料。
問合せTEL090・2536・6911丸山幸男(事務局〒343‐0807越谷市赤山町3‐154‐14)
写真=上演後に挨拶する加藤座長(左から2人目)と丸山会長(同4人目)。
中央は出演した施設職員=足立ケアコミュニティそよ風で











