足立朝日

情熱とぬくもりで   高齢者を見守り支える 民生・児童委員が高齢者現況調査

掲載:2010年10月5日号
 足立区の高齢者福祉を支えているのが、508人の民生・児童委員だ。
 区が9月に行った90~98歳(平成23年3月末時点)高齢者の現況調査では、今年1月から介護保険サービスの利用がない1257人を対象に、担当区域の委員が1軒1軒訪問し調査を行った。
 常東地区の民・児委員協議会会長の柳川峯子さん(69)が訪問したのは、自宅のある千住東2丁目に住む渡辺ヒサエさん(91)と、その向かいの加藤りつこさん(89)。
 挨拶を交わしながら、柳川さんも渡辺さんも涙ぐむ。柳川さんが相手の苦労を知り親身に接している中で、溢れてくる想いがある。「柳川さんがいるから、長生きできる」と渡辺さんは言う。
 加藤さんも1㎞以上離れた接骨院に歩いて通うほど健脚だが、「巡回してくださるから、安心してこの町に暮らせる」と、訪問時の談笑を楽しむ。
 委員たちは75歳以上の高齢者の健康や生活状況などに、常に目を配る。特に今夏の猛暑は、その活動が重みを増した。柳川さんは担当212人全てを訪問し、様子見とともに「水分を採って」など熱中症予防を呼びかけた。1日に44軒も回ったこともあるという。
 「支えられてやっていて、ちっとも苦じゃない。自分を育ててもらい、楽しくやっている」。21年の委員歴を、柳川さんはほがらかに語る。「一人ひとり違うから、その人の心に寄り添って活動することが大事。その人の幸せを願いながら」
 暮らしやすい町のために、民生・児童委員たちは、地道であたたかい活動を続けている。

写真=訪問先の渡辺さん(中央)と加藤さん(右)の自宅の前で、近況を聞く柳川さん