さすがの猛暑も終わり、足立区にも着実に秋がやってきた。公園や神社、お寺の多い足立区には紅葉する樹木も多く、カエデ(モミジ)を筆頭に、ツツジ、ウルシ、ナナカマド、ツタ、ミズキなどが文字通り赤くなり、イチョウ、ヤナギ、ポプラなどは黄色に、ブナ、ケヤキ、ナラ、カシワ、トチノキなどは褐色に変わる。千変万化、自然の営みは我々の目を楽しませ、心を癒(いや)してとどまることを知らない。区内の紅葉の名所を何カ所か紹介する。

◆薬師寺
伊興5‐4‐3
「80種のモミジが山門からトンネルを作り、錦絵のような美しさ」
伊興中学校の前の小道を入った所にある薬師寺は、足立区では珍しい曹洞宗のお寺。通称「ツバキとモミジのお寺」と呼ばれ、境内には80種以上のモミジ、100種を超えるツツジが植えられ、ほかにも保存樹のケヤキ5本、クスノキ、メタセコイア、エノキ各1本と鬱蒼(うっそう)とした「緑の禅寺」だ。これが、秋には一気に紅葉し、区内一の壮大な景観を現出する。
44代目住職の浅川元之さん(66)は、同寺に生まれ、幼少の頃から樹木が大好き。中学生の時に「この寺をツバキとモミジの寺にしよう」と決意し、自転車で植木の町・安行(あんぎょう)まで植木を買いに行ったという。「モミジ、ツツジなどこの境内の樹木はすべて、私の分身みたいなもの。芽吹き、開花、結実、そして紅葉と自然界の成り行きを楽しませてもらっています」と語る。紅葉は、通常11月中旬から始まり、下旬から12月上旬がピーク。「見頃がいつになるかは、すべて寒さにかかっています。モミジを至近距離で見られます。ぜひお立ち寄り下さい」
【問合せ】TEL3899・4877
【交通】竹ノ塚駅西口から「入谷循環」「入谷舎人循環」「新田循環」行きバスなどで2つ目の「伊興町」下車5分。
◆鷲神社
島根4‐25‐1
「朝日を浴びるイチョウは黄金色に輝く小判のよう」
9月20日号「あだちの氏神様」で紹介した鷲神社には、ヒノキやツツジ、ケヤキなど200本以上の樹木が植えられている。1862㎡に植えられた樹林は、平成18年に保存樹にも指定された。
樹林は、11月初旬から色づきはじめ12月末頃まで紅葉が見られる。毎年、90覆200袋の落葉が取れる同社では、近所の人たちが落葉を集め、子どもたちは落葉のプールを楽しんだり、出来る時には焼き芋をしたりする。
「本殿裏の紅葉した樹林の隙間から朝日が降り注ぐ様子は、何とも言えぬ美しさです。これも全て、樹林が地元の人たちに愛されて、今の姿を残せていけるからです」と石倉義康宮司。
【問合せ】TEL3883・6140
【交通】東武線「梅島」「西新井」「竹ノ塚駅」より各徒歩15分
◆花畑記念庭園
花畑4‐40‐1
「80本のモミジ、ケヤキが水面に映りこむ景観が見事」
区内でも有数の紅葉の名所。園内の日本庭園にたたずむ休憩・集会施設
「桜花亭」は、茶室など9つの個室があり(有料)、そのすべてから紅葉が眺められる。「桜花亭」の前にある池のほとりには、80本のモミジやケヤキが並び、水面に映りこむ景観は見事。
【時間】午前9時~午後5時(施設利用は、9時まで)月曜休み・月曜が祝日の場合翌日休み。
【問合せ】TEL3885・9795
【交通】竹ノ塚駅東口から「花畑団地」行きバスで「花畑団地入口」下車すぐ。
◆その他の紅葉スポット
区最古の庚申塔(区有形民俗文化財)がある正覚院(花畑3-24-27、TEL3884・4060)では、樹齢400歳を越えると言われる「乳たれイチョウ」が見ることができる。
乳たれとは、樹齢を重ねたイチョウに現れる枝や幹の途中から根が生える現象で、乳房のように見えることから呼ばれる。古くは、乳が出ない母親が信仰していたとされ、今でも乳幼児を守るご利益があると言われている。
【時間】午前8時~午後5時頃
【交通】つくばエクスプレス「六町駅」から東武バス「花畑桑袋団地」「花畑団地」行で「あいぐみ公園前」下車、徒歩2分《メモ》 紅葉は、一般に落葉樹のものが有名。カエデ科の数種を特にモミジと呼ぶことが多い。葉の赤色は色素「アントシアン」に由来する。アントシアンは春から夏にかけての葉には存在せずに、秋に葉に蓄積したブドウ糖や蔗糖と、紫外線の影響で発生する。
写真=薬師寺1/山門からの目が覚めるようなモミジのトンネル=薬師寺で
薬師寺2/「自然は名医」と語る浅川住職=同上
鷲神社/紅葉した樹林が本殿を囲む鷲神社=05年11月25日撮影
花畑記念庭園/石灯籠もモミジに映える=花畑記念庭園で
その他/紅葉前の乳たれイチョウ


伊興5‐4‐3
「80種のモミジが山門からトンネルを作り、錦絵のような美しさ」
伊興中学校の前の小道を入った所にある薬師寺は、足立区では珍しい曹洞宗のお寺。通称「ツバキとモミジのお寺」と呼ばれ、境内には80種以上のモミジ、100種を超えるツツジが植えられ、ほかにも保存樹のケヤキ5本、クスノキ、メタセコイア、エノキ各1本と鬱蒼(うっそう)とした「緑の禅寺」だ。これが、秋には一気に紅葉し、区内一の壮大な景観を現出する。

【問合せ】TEL3899・4877
【交通】竹ノ塚駅西口から「入谷循環」「入谷舎人循環」「新田循環」行きバスなどで2つ目の「伊興町」下車5分。

島根4‐25‐1
「朝日を浴びるイチョウは黄金色に輝く小判のよう」
9月20日号「あだちの氏神様」で紹介した鷲神社には、ヒノキやツツジ、ケヤキなど200本以上の樹木が植えられている。1862㎡に植えられた樹林は、平成18年に保存樹にも指定された。
樹林は、11月初旬から色づきはじめ12月末頃まで紅葉が見られる。毎年、90覆200袋の落葉が取れる同社では、近所の人たちが落葉を集め、子どもたちは落葉のプールを楽しんだり、出来る時には焼き芋をしたりする。
「本殿裏の紅葉した樹林の隙間から朝日が降り注ぐ様子は、何とも言えぬ美しさです。これも全て、樹林が地元の人たちに愛されて、今の姿を残せていけるからです」と石倉義康宮司。
【問合せ】TEL3883・6140
【交通】東武線「梅島」「西新井」「竹ノ塚駅」より各徒歩15分

花畑4‐40‐1
「80本のモミジ、ケヤキが水面に映りこむ景観が見事」
区内でも有数の紅葉の名所。園内の日本庭園にたたずむ休憩・集会施設
「桜花亭」は、茶室など9つの個室があり(有料)、そのすべてから紅葉が眺められる。「桜花亭」の前にある池のほとりには、80本のモミジやケヤキが並び、水面に映りこむ景観は見事。
【時間】午前9時~午後5時(施設利用は、9時まで)月曜休み・月曜が祝日の場合翌日休み。
【問合せ】TEL3885・9795
【交通】竹ノ塚駅東口から「花畑団地」行きバスで「花畑団地入口」下車すぐ。

区最古の庚申塔(区有形民俗文化財)がある正覚院(花畑3-24-27、TEL3884・4060)では、樹齢400歳を越えると言われる「乳たれイチョウ」が見ることができる。
乳たれとは、樹齢を重ねたイチョウに現れる枝や幹の途中から根が生える現象で、乳房のように見えることから呼ばれる。古くは、乳が出ない母親が信仰していたとされ、今でも乳幼児を守るご利益があると言われている。
【時間】午前8時~午後5時頃
【交通】つくばエクスプレス「六町駅」から東武バス「花畑桑袋団地」「花畑団地」行で「あいぐみ公園前」下車、徒歩2分《メモ》 紅葉は、一般に落葉樹のものが有名。カエデ科の数種を特にモミジと呼ぶことが多い。葉の赤色は色素「アントシアン」に由来する。アントシアンは春から夏にかけての葉には存在せずに、秋に葉に蓄積したブドウ糖や蔗糖と、紫外線の影響で発生する。
写真=薬師寺1/山門からの目が覚めるようなモミジのトンネル=薬師寺で
薬師寺2/「自然は名医」と語る浅川住職=同上
鷲神社/紅葉した樹林が本殿を囲む鷲神社=05年11月25日撮影
花畑記念庭園/石灯籠もモミジに映える=花畑記念庭園で
その他/紅葉前の乳たれイチョウ