12月21日(火)は納めの大師。西新井大師では弘法大師の縁日の21日に、毎月法要と縁日が開かれているが、12月はその締めくくり。
商売繁盛を祈願して、熊手やだるまを売る露店が境内に立ち並び、都内での年内最後の熊手市としても賑わう。

熊手屋・五十嵐
境内に14~15軒並ぶ熊手屋の一つ「五十嵐」(関原2‐47‐13、TEL3886・8685)は、80年ほど前から続く熊手作りの店。伝統工芸士の五十嵐茂尾さん(52)、奥さん、息子さんの3人が製作に携わる。毎年11月の酉の市に向けて1年中作業が続き、年間2000本仕上げる。
祖父の代は輸出用の人形のカシラ(頭部)を作っていたが、徐々に熊手に移行。おかめを中心に据えた「ざる熊手」が主力で、「五十嵐の描くおかめはいい」と評判という。
大半はプラスチック製だが、大きいものは昔ながらの張子で作る。どちらも福福しい笑みが命の顔は1つ1つ手描きで、茂尾さんが目、奥さんが他の部分を担当。繊細で気の抜けない作業だ。「お客さんに笑っているものを選んでもらうと、福がある」と五十嵐さん。
昔と違い、熊手作りはほとんどが分業。五十嵐さんはおかめ製作だけでなく、熊手全体のデザインを考えてパーツを発注し、組み立て仕上げる。年ごとに変化するお客さんの好みに合わせて、デザインを変えていく。「今年いいと思った形をベースに、来年作る。その繰り返し。最近は小判の数が多くなった」
最大のものは、高さ5m、横幅3mもあるとか。柄(え)は千住仲町の黒須竹材から仕入れる。可愛らしい招き猫入りのものが人気で、お神輿入りのものも多いという。小さいものは、1000~2000円ぐらいからある。
納めの大師の伝統を
五十嵐さんは鷲神社福神講の広報部長も務め、浅草酉の市を盛り立ててきた。花畑大鷲神社の酉の市には出していないが、地元西新井の「納めの大師」への思いは強い。「小さい頃は夜11時過ぎまで賑やかだった。今は門前も遅くまでやらない。もっとお祭りとして盛り上がって欲しい。伝統をなくしたくない」と話す。
西新井大師近くの西新井1丁目に住む清水正雄さん(77)によると、戦前はかなりの賑わいだったという。「子どもの頃のことで良く覚えていないが、大きな熊手を買うと、名前を入れて夕方配達するまでの間、門前に飾ってあった。手締めの音が良く聞こえた」そうだ。
活気では当時には及ばないかもしれないが、今の露店はバラエティに富んで、時代に合った魅力がある。新年に向けて新しい福を授かりに、熊手屋の威勢の良い声で活気づく大師に、出かけてみてはいかが。
写真=上/熊手を手に五十嵐さん=自宅前で
下/「納め熊手市」のポスター
商売繁盛を祈願して、熊手やだるまを売る露店が境内に立ち並び、都内での年内最後の熊手市としても賑わう。


境内に14~15軒並ぶ熊手屋の一つ「五十嵐」(関原2‐47‐13、TEL3886・8685)は、80年ほど前から続く熊手作りの店。伝統工芸士の五十嵐茂尾さん(52)、奥さん、息子さんの3人が製作に携わる。毎年11月の酉の市に向けて1年中作業が続き、年間2000本仕上げる。
祖父の代は輸出用の人形のカシラ(頭部)を作っていたが、徐々に熊手に移行。おかめを中心に据えた「ざる熊手」が主力で、「五十嵐の描くおかめはいい」と評判という。
大半はプラスチック製だが、大きいものは昔ながらの張子で作る。どちらも福福しい笑みが命の顔は1つ1つ手描きで、茂尾さんが目、奥さんが他の部分を担当。繊細で気の抜けない作業だ。「お客さんに笑っているものを選んでもらうと、福がある」と五十嵐さん。
昔と違い、熊手作りはほとんどが分業。五十嵐さんはおかめ製作だけでなく、熊手全体のデザインを考えてパーツを発注し、組み立て仕上げる。年ごとに変化するお客さんの好みに合わせて、デザインを変えていく。「今年いいと思った形をベースに、来年作る。その繰り返し。最近は小判の数が多くなった」
最大のものは、高さ5m、横幅3mもあるとか。柄(え)は千住仲町の黒須竹材から仕入れる。可愛らしい招き猫入りのものが人気で、お神輿入りのものも多いという。小さいものは、1000~2000円ぐらいからある。

五十嵐さんは鷲神社福神講の広報部長も務め、浅草酉の市を盛り立ててきた。花畑大鷲神社の酉の市には出していないが、地元西新井の「納めの大師」への思いは強い。「小さい頃は夜11時過ぎまで賑やかだった。今は門前も遅くまでやらない。もっとお祭りとして盛り上がって欲しい。伝統をなくしたくない」と話す。
西新井大師近くの西新井1丁目に住む清水正雄さん(77)によると、戦前はかなりの賑わいだったという。「子どもの頃のことで良く覚えていないが、大きな熊手を買うと、名前を入れて夕方配達するまでの間、門前に飾ってあった。手締めの音が良く聞こえた」そうだ。
活気では当時には及ばないかもしれないが、今の露店はバラエティに富んで、時代に合った魅力がある。新年に向けて新しい福を授かりに、熊手屋の威勢の良い声で活気づく大師に、出かけてみてはいかが。
写真=上/熊手を手に五十嵐さん=自宅前で
下/「納め熊手市」のポスター