足立朝日

医療費分を若い人たちのために 協働パートナー基金に寄附

掲載:2011年1月20日号
 全国で児童養護施設にランドセルなどを寄附するタイガーマスク現象が広がっているが、それに先駆け足立区では昨年末、協働パートナー基金に100万円もの寄附があった。
 贈り主は、梅田1丁目在住の小松崎吉夫さん(84)。9年前にガンを患い生死の境から無事生還したが、その後、後期高齢者医療費の明細を見てびっくり。実際の費用は半年で50万円以上にもなっていた。
 「1割負担なので気付かなかった。こんなに区に借りを作って死んだら申し訳ないと、寄附を思い立った。お返しする意味なので、大それたことではない」と話す。
 布教師の小松崎さんは33年間、少年院で教誨(かい)師として働き、平成6年には藍綬褒章を受賞するなど、福祉活動に常に関わってきた。
 「足立区に置いていただいて、こんなにお世話になっているのに、区には何もしてこなかった。1年間の医療費分の9割は、若い人に返したいと思った」
 1月11日(火)、区の担当者が自宅を訪問。感謝状と記念品のチャップンのピンバッヂ、近藤区長の直筆の手紙が、小松崎さんに手渡された。
【協働パートナー基金】=足立区にある7種の寄附「あだち虹色寄附」の1つ。区内で社会貢献活動をしているボランティア、NPOを支援し、循環していく珍しいタイプの基金。区の積立金2億円をベースに、寄附金を活用。
 各事業の申請内容を審査し、支援を決定する。昨年は14団体、総額120万円が活用された。

写真/思いがけない取材に、「匿名にすればよかった」と照れる小松崎さん=自宅で