
十両は取り組み数が7番から15番に増えるなど、幕下とは世界が一変する。「土俵入りも初めてだし、緊張した。体力的にも精神的にもきつかった」という。そのせいもあってか、2日連続黒星のスタートとなった。「考え込むタイプなので、ズルズル引きずっちゃうと思った」が、そこから「自分の相撲で前に出るしかない」と気持ちを切り替えた。3、4日目と勝ち、6日目から中日まで3連勝。11日目は同じ足立区の境川部屋(舎人4丁目)の同期、佐田の海を押し出した。「先に(十両に)上がられていたので早く追いつきたかった。勝ててうれしかった」
7勝で足踏みして迎えた千秋楽。「最後なので負けても勝っても、という気持ちで臨んだ。勉強の場所だった」。決まり手は、得意の押し出しだった。「いい相撲だったと、親方にも先代にも言われた。自信になりますね」と、最高の笑顔で語った。
写真/勝ち越しの喜びを語った富士東=玉ノ井部屋の土俵の前で