一ツ家在住の山崎年子さん(76)が、寺に奉納する天井絵80枚を完成させ、自宅の「ギャラリーあじさい」で公開している。
リフォームの裁縫教室を開いている山崎さんは、24年ほど前から趣味で墨絵や日本画を勉強。琳派の画家、酒井抱一の直系・六世抱道の指導を受けるなどして、描き続けてきた。
そこへ嫁の典子さんから、福島県須賀川市にある長命寺の天井絵の話が舞い込んだ。須賀川は典子さんの出身地で、父が寺の総代を務めている。
寺は鎌倉時代の創建というが、天井絵は江戸時代頃に墨絵で描かれたもので、一部の天井板が抜けている状態。依頼は部分修復だったが、昔の絵に新たに描いた絵を合わせるのは難しいと、山崎さんが80枚全てを描いて奉納することを申し出た。
福島から送られた80㎝四方の杉の正目の板の1枚1枚に、千両、リンドウ、萩、睡蓮(すいれん)、南天などを、岩絵具で丁寧に描いた。実物をじっくり観察して描くことにこだわり、墨絵の試し描きも含めて、完成まで3年を費やした。
梅雨時は絵具がなかなか乾かず、真夏は逆にすぐに乾いてしまうなど、苦労も多かった。「始めの頃は大変ばかなことを引き受けたなー、と恥ずかしくて誰にも言えなかった」というが、出来上がった時には「やっぱり、いい気持ちだねぇ」と達成感に最高の笑顔がこぼれる。
「身近で、知っている好きな花だけ描いた。ない花は咲くまで待った」というだけあって、名前は知らなくても、いずれも親近感のある花ばかり。絵はがき(3枚100円)を会場で販売しており、全種買っていくお客さんもいるほど。
鎌倉時代の寺の天井を、平成に描かれた花々が埋める奇跡の瞬間に、山崎さんは想いを馳せる。「天井に収まったところを見納められたら、こんなにいいことはない。それまで病気にならないようにしなきゃ」。寺の修理は年内に完成する予定だそうだ。
《無量山 阿弥陀院 長命寺 天井絵展》
【日時】3月31日(木)までの午後1時~6時、火・水曜定休
【場所】ギャラリーあじさい(一ツ家2-11-20・2階、TX「六町駅」下車徒歩15分、綾瀬駅から竹の塚駅行き東武バス「都営住宅」下車3分、北千住駅から竹の塚行き都営バス「島根町」下車8分)
【入場料】無料
【問合せ】TEL3858・1623山崎
写真/展示中の作品を前にした山崎さん=自宅のギャラリーあじさいで
リフォームの裁縫教室を開いている山崎さんは、24年ほど前から趣味で墨絵や日本画を勉強。琳派の画家、酒井抱一の直系・六世抱道の指導を受けるなどして、描き続けてきた。そこへ嫁の典子さんから、福島県須賀川市にある長命寺の天井絵の話が舞い込んだ。須賀川は典子さんの出身地で、父が寺の総代を務めている。
寺は鎌倉時代の創建というが、天井絵は江戸時代頃に墨絵で描かれたもので、一部の天井板が抜けている状態。依頼は部分修復だったが、昔の絵に新たに描いた絵を合わせるのは難しいと、山崎さんが80枚全てを描いて奉納することを申し出た。
福島から送られた80㎝四方の杉の正目の板の1枚1枚に、千両、リンドウ、萩、睡蓮(すいれん)、南天などを、岩絵具で丁寧に描いた。実物をじっくり観察して描くことにこだわり、墨絵の試し描きも含めて、完成まで3年を費やした。
梅雨時は絵具がなかなか乾かず、真夏は逆にすぐに乾いてしまうなど、苦労も多かった。「始めの頃は大変ばかなことを引き受けたなー、と恥ずかしくて誰にも言えなかった」というが、出来上がった時には「やっぱり、いい気持ちだねぇ」と達成感に最高の笑顔がこぼれる。
「身近で、知っている好きな花だけ描いた。ない花は咲くまで待った」というだけあって、名前は知らなくても、いずれも親近感のある花ばかり。絵はがき(3枚100円)を会場で販売しており、全種買っていくお客さんもいるほど。
鎌倉時代の寺の天井を、平成に描かれた花々が埋める奇跡の瞬間に、山崎さんは想いを馳せる。「天井に収まったところを見納められたら、こんなにいいことはない。それまで病気にならないようにしなきゃ」。寺の修理は年内に完成する予定だそうだ。
《無量山 阿弥陀院 長命寺 天井絵展》
【日時】3月31日(木)までの午後1時~6時、火・水曜定休
【場所】ギャラリーあじさい(一ツ家2-11-20・2階、TX「六町駅」下車徒歩15分、綾瀬駅から竹の塚駅行き東武バス「都営住宅」下車3分、北千住駅から竹の塚行き都営バス「島根町」下車8分)
【入場料】無料
【問合せ】TEL3858・1623山崎
写真/展示中の作品を前にした山崎さん=自宅のギャラリーあじさいで











