綾瀬駅近くにある東京武道館では、約300人の避難者が生活している。原発による避難のため、身の周りのものを持って来ている人が多く、被災地の避難所とは状況が異なる。食事は食事券が配られるなど、物資面の支援は武道館管轄の都によって、比較的行き届いているようだ。避難者の20代男性は、「足りない物はない。十分な暮らしをさせてもらっている」。当初、都が衛生面などを考慮してボランティアの受け入れに消極的だったことに対し、「寒い中、手続きに何時間も外で待っているボランティアの人もいて、そちらの方が体を壊してしまう」と逆に気づかう言葉も。
今はボランティアが多数活動。継続的なものでは、東京弁護士会による法律相談コーナーや、フィットネスクラブ・ティップネス綾瀬によるジム、スタジオ、お風呂の無料利用、子ども向けの体操や折り紙などのレクリエーション他、細やかな支援がされている。また、近隣の理容店が無料カットのサービスをするなど、地域のあたたかいサポートもある。
一方で、退屈している子どもたちも多い。ロビーにテレビがあるが、「バラエティ番組が見たいけど、NHKしか映らない」と小学6年生の女の子。子どもが体を思いきり動かせる場所が欲しいという声もあり、施設内の体育館の利用が望まれている。
日々変わる避難者のニーズ
ボランティアを申し出る人が多いことから、避難者のニーズと結びつけるため、足立区では区社会福祉協議会と協力して避難者支援センターを先月28日(月)に開設した。今のところ、避難者からの希望が少なく、なかなかマッチングが進んでいないのが現状。支援センターでは1人1人に聞き取り調査を行っている。
区民としてなんとか手助けをしたい、という気持ちは大切だが、自分の気持ちが先走ってしまっては、本末転倒になりかねない。避難所のニーズは日々変わる。支援をしたい人は、避難者の声に耳を傾け、本当に必要としていることやアイデアを提供していきたい。
支援センターの開設期間は4月中旬まで(予定)の午前9時~午後5時。力になりたい人は、まずは相談を。ボランティア活動等の登録問合せはTEL3870・0061総合ボランティアセンター。救援物資等の問合せはTEL5697・1116区避難者支援センター(東京武道館内)
区役所などで義援金の受付 震災への足立区の義援金は、区民課がまとめて赤十字に送っている。各区民事務所、区役所北館1階と中央館ロビーの受付に募金箱が設置されているので、支援したい人は利用して欲しい。受付は9月30日(金)まで。
写真上/5歳の子どもとポケモンのゲームで勝負する、東京弁護士会の大学院生=東京武道館で
中/畳のフロアに設けられた避難者の生活空間=同
下/区役所中央館ロビーの受付に置かれている募金箱











