足立朝日

4月から学校の授業で「新聞」が使われるようになります

掲載:2011年4月5日号
 「編集の仕方や記事の書き方に注意して新聞を読もう」――。これは、「小学校新学習指導要領解説・国語編」にある5、6年生の「目標と内容」の中にある文章。4月から使われる小学校の教科書には「新聞」が「言語活動例」の一つとしてしっかりと位置づけられている。そこで、これまでも「新聞」を十二分に活用した実践をして来た弘道小学校、青井中学校を訪ねてみた。
各紙を比較して研究
 西綾瀬4丁目にある弘道小学校(田中泰徳校長、児童数356人)では、一昨年度と昨年度(3月まで)の2年間、日本新聞協会が学校に無料で新聞を配布する「NIE指定校」となり、一昨年度は4年生、昨年度は5年生で新聞を活用した授業を行った。
 中心になったのは、5年1組担任の西和昌教諭(36)。国語では、「日本語について調べよう」というテーマで、1面の比較、見出しの表現上の工夫、テレビ番組欄のおもしろい表現、スポーツ記事の中の言葉、文字の形や大きさについて各紙を比較して研究、各班でその研究結果を壁新聞にして発表した。また、社会では、各班ごとに校長インタビューや先生や家族などに取材して、B4版の手書きの新聞を作った。例えば、3班「季節新聞冬号」には、「家で作れるクリスマスケーキ」の記事や「先生に聞く!今年の冬休み!」コーナー、マンガ、「男子6人にサッカーの楽しさを聞きました!」特集、クイズなどの記事が盛りだくさん。西教諭は「みんな、新聞はおもしろいと言って夢中で読んでいました。4月からNIE指定校ではなくなりますが、新指導要領に新聞活用が位置付けられたので、さらに工夫したいですね」と話した。
 ちなみに、一昨年4月に「普段から新聞を読む」が3割だった5年1組児童(30人)が、昨年4月に52%となり、今年3月には「教室にある新聞を読んだ」が86%、「大人になって、新聞を読む」が81%となった。

「ガンバレ東北がんばれ日本」の見出しくっきりと
 青井中学校(太田房子校長、生徒数227人)では、来年度からの「新聞活用の授業」を先取りした取り組みが、昨年4月からスタート。1年1組の丸山明美教諭(49)=国語担当=を中心に、同学年3クラス(98人)の担任が手を組み、全員参加で3日に1度手書きの「学級新聞」を、月に1回「学年新聞」を制作、この2月に「学級新聞」が東京都新聞コンクールの最優秀賞に選ばれた。
 丸山教諭は、「一時はマスコミに就職しようかと思った」(本人)ほどの新聞大好き先生で、昨年4月、同校赴任後すぐに「学級新聞を作ろう」と提案、他のクラス担任も賛同して新聞作りが始まった。題材は、国語科で月、水、金にやらせている「今日中課題」の200字作文、4コマ漫画、俳句、ポスター風色紙で、レイアウトが決まっているため、どの生徒も精一杯頑張った。この中から、色をきれいに塗ってあったり、文の良いものを新聞係(5~6人)が選び、切り貼りして「学級新聞」にしていくのだ。
 「学年新聞」は、丸山教諭が生徒たちの手書き文などを貼ってパソコンで制作。一番新しい号には、「東日本大震災を思って、節度を守った春休みに」「ガンバレ東北がんばれ日本」の見出しが躍り、生徒たちの思い思いの「復興エール」が掲載されている。
 丸山教諭は「この新聞作りを通して、観察力、表現力、文章力など子どもたちが変わっていくのがわかります」と話し、赴任した2年前から毎朝10分間の「朝読書」を推進して来た太田校長は「新聞はすべての情報の発信元。4月から、新聞作りを他の学年にも広げたい」と話している。

写真上から1/「児童たちの発想がすごい」と話す西教諭=弘道小で
2/壁新聞
3/熱い見出しが躍る学年新聞を手に太田校長(左)と丸山教諭=青井中で
4/3クラスの力作「学級新聞」