足立朝日

玉ノ井部屋は相馬市へ 避難所で横綱・白鵬らが炊き出し

掲載:2011年4月20日号
 東日本大震災の影響で約200人が避難生活を送る東京武道館(綾瀬3丁目)で4月6日(水)、日本相撲協会の力士による炊き出しが行われた。
 訪れたのは、横綱白鵬と大関、関脇、小結の三役8人、玉ノ井部屋の力士ら。朝から外の特設テントで玉ノ井部屋の面々が仕込んだ鶏団子入り特製塩ちゃんこを、横綱らが自らよそってふるまった。
 避難者たちは、舌鼓を打ちながら、「お代わり、ありますよ~」と器を持ってテーブルを回る関取たちと記念写真を撮るなど、笑顔のひと時を過ごした。
 いわき市から避難していた末永謙真くん(7)が、白鵬から声をかけられて横綱と相撲を取る一幕もあった。
 今回の炊き出しを発案したのは玉ノ井部屋。先代の栃東(知頼)は相馬市出身で、被災した故郷への想いからだった。
 震災後、現地を訪れた先代は「言葉に表せないぐらい、津波の恐ろしさを見た」と語る。幸い多くの知人は高台に逃れ無事だったが、20年前から毎年夏に合宿していた場所は、海の側にあったため残っていなかった。「家の中に船が刺さっているところもあった。海水浴に行った場所もない」。自然の脅威を前に、変わり果てた故郷への想いは一つ。「応援してもらっている恩返しをしたい」
 玉ノ井部屋では今月中旬、現栃東親方(大裕)とともに相馬市に支援物資を届け、炊き出しを行った。

写真上/琴欧州からちゃんこを受け取り、避難者の笑顔がこぼれる=東京武道館で
下/席に座って子どもたちに話しかける白鵬