四角い紙の中に広がるのは、色鉛筆を何層にも重ねる線画が描き出す不思議な世界。足立区出身・在住の松島理恵子さん(20)が、3度目の個展を開く。
「形よりも基本的に色を紡(つむ)ぎたい。形のないものを求めると、果てしなく形が現れるので飽きない」と松島さん。専門学校で油絵を学んだ後、様々な試行錯誤をを経て今の手法に到達した。夜は北千住のカフェ&バーで働きながら、活動を続けている。
個展と言っても、作品を展示しているだけのものとは一味違う。期間中、歌や音楽などイベントの時間を設け、絵だけでなく広く感覚の世界を提供・共有してもらおうと趣向を凝らす。
中でも、紙芝居「光のカーニバル」は1時間もの大イベントだ。昨年、浅草を舞台にしたアートイベント「GTS」(芸大・台東区・墨田の頭文字)の田原小学校での発表に合わせて制作。東京大空襲の傷跡が今も残る浅草を舞台に、その土地が抱える記憶を伝えるものにしようと、発表メンバーたちから自然に案が出た。
制作のため空襲体験者から証言を聞き、松島さんは衝撃を受けた。「今の自分たちは平和ボケしている。証言者の話をリアルに伝えることで、平和が紡(つむ)げるのではないか。教科書に出てくるだけのものにしてはいけない」
物語は、「夢も希望もない」と登校拒否になっている女の子が、突然現れた奇術師の力で、浅草の土地に眠る空襲の記憶を猫とともに旅していくというもので、空襲体験者の証言を忠実に再現しながらも、ファンタジー仕立てになっている。
紙芝居作家のスズキスズさんが物語を作り、松島さんが140枚もの絵を描いた。松島さんが働く「COSMIC SOUL」のマスターで倍音楽器演奏家のシマカワコウジさん、ピアニストの岡野勇仁さん、歌手のさかいれいしうさんが、聴覚の効果を演出。小学5~6年生対象のつもりだったが、大人たちからも大反響を得たという。
「体験者は高齢なので、私たちが話を未来につなげる最後のつなぎ目の世代」と松島さん。個展ではこの紙芝居の原画も展示される。
◆松島理恵子個展「憶色~宙の広場にこだまする色の唄~」
【日時】5月6日(金)~10日(火)正午~午後5時、会期中無休 *イベント=6日(金)午後3時~オープニングレセプション、8日(日)午後3時~紙芝居「光のカーニバル」、10日(火)午後3時~パフォーマンス
【場所】千住宿歴史プチテラス(千住河原町21‐11/「北千住駅」西口徒歩20分、京成線「千住大橋駅」徒歩5分)
【入場料】無料
【問合せ】TEL3882・7050「COSMIC SOUL」(午後7時~12時)、メール
写真上/紙芝居「光のカーニバル」のイラストを手にした松島さん=COSMIC SOULで
下/制作中の作品

個展と言っても、作品を展示しているだけのものとは一味違う。期間中、歌や音楽などイベントの時間を設け、絵だけでなく広く感覚の世界を提供・共有してもらおうと趣向を凝らす。
中でも、紙芝居「光のカーニバル」は1時間もの大イベントだ。昨年、浅草を舞台にしたアートイベント「GTS」(芸大・台東区・墨田の頭文字)の田原小学校での発表に合わせて制作。東京大空襲の傷跡が今も残る浅草を舞台に、その土地が抱える記憶を伝えるものにしようと、発表メンバーたちから自然に案が出た。
制作のため空襲体験者から証言を聞き、松島さんは衝撃を受けた。「今の自分たちは平和ボケしている。証言者の話をリアルに伝えることで、平和が紡(つむ)げるのではないか。教科書に出てくるだけのものにしてはいけない」

紙芝居作家のスズキスズさんが物語を作り、松島さんが140枚もの絵を描いた。松島さんが働く「COSMIC SOUL」のマスターで倍音楽器演奏家のシマカワコウジさん、ピアニストの岡野勇仁さん、歌手のさかいれいしうさんが、聴覚の効果を演出。小学5~6年生対象のつもりだったが、大人たちからも大反響を得たという。
「体験者は高齢なので、私たちが話を未来につなげる最後のつなぎ目の世代」と松島さん。個展ではこの紙芝居の原画も展示される。
◆松島理恵子個展「憶色~宙の広場にこだまする色の唄~」
【日時】5月6日(金)~10日(火)正午~午後5時、会期中無休 *イベント=6日(金)午後3時~オープニングレセプション、8日(日)午後3時~紙芝居「光のカーニバル」、10日(火)午後3時~パフォーマンス
【場所】千住宿歴史プチテラス(千住河原町21‐11/「北千住駅」西口徒歩20分、京成線「千住大橋駅」徒歩5分)
【入場料】無料
【問合せ】TEL3882・7050「COSMIC SOUL」(午後7時~12時)、メール
写真上/紙芝居「光のカーニバル」のイラストを手にした松島さん=COSMIC SOULで
下/制作中の作品